2泊したこの夏の南紀の撮影の旅を振り返るシリーズも、これで最後になります。
2日目の日置~すさみは真っ青な空という条件に恵まれ成果は十二分でしたが、晴れているということは真夏の日差しも厳しいということであり、この南紀でも珍しい猛暑ということもあって完全に疲弊。
一夜明けても体力は回復しない……というより、もう一日炎天下で撮影を続けるには気力のほうが出ません。
スケジュール上、その気なら昼過ぎまでは滞在できましたが、このまま帰路直行ということも考えました。2日間で撮るものは撮れて、これで満足はできますから。
とはいえ引き続きの快晴で撮影条件はなお絶好、このまま後にするには惜しい気もします。
ということで、少しはこの日も撮ろう……と決めました。
とはいえ、長時間の撮影はもう体力・気力ともに無理なので、立ち寄っては撮る、という形。それ以外の時間は、あえて冷房の効いた電車内で乗って過ごすことにしました。
まずは和深の海を撮り、その後見老津に引き返して、前日の撮影では漏れていた「松の下」を撮る。その後、紀伊浦神で初めて降りて撮影して、ここから帰路につく。
こういう「行ったり来たり」のスケジュールです。
もともと帰りは学生時代を思い出すように「青春18きっぷ」を使い、在来線のなかでゆっくりと写真を見て、整理しつつ帰る予定。帰りの交通費は変わらないということで、行ったり来たりのルートになります。
まずは、夏の和深の海を撮りたい。
初日にも、勝浦へ向かう電車の車窓からこんなふうになかなかのものが撮れましたが、改めて海岸まで降りたい。
ということで、スマホで時刻表を確かめます。
この日の宿をとった紀伊田辺から、
発 6:39(始発) → 和深着 7:33
ここから見老津駅に引き返して撮影したいスポットが残っていたので、
という予定を組みます。
つまり、まず折り返しの電車に乗る50分弱のインターバルのうちに、和深海岸まで往復しようというのです。
しかも、駅からすぐ出られる海岸ではなく、和深漁港・エビス地磯まで出てみようという、ちょっと無茶な計画でした。
片道1km程度。早足で歩けば片道12-3分として、撮影に使えるのは20分あるかどうかです。
ということで、まずホームから、さっき乗ってきた電車とともに海を望む。ここでの定番ともいえるショットです。反対側の通過列車待ち合わせで4分間停車していました。
駅を後にします。
かつての木造の駅舎は老朽化のため取り壊され、代わりに建てられたのが駅舎とも言えないようなこんな味気のない建造物。それだけに、今にして思えば旧駅舎のうちに海を望んだショットを撮っておくべきだった、と後悔しています。
ここから和深漁港のあたりまでは入り組んだ道を通る必要があり、あいにく一つのルートが落石で通行止め、貴重な数分をロスする結果になりました。
ということで、ともかくも漁港まで到達。そこからエビス地磯に出ます。荒々しい岩棚が青い海に張り出しています。
岩棚の上に立つ鳥居と祠。地元の人から、ここは戎神社であることをお聞きしました。豊漁と安全を祈願して建てられたのでしょう。
ここの岩棚の海岸美もなかなかです。
特徴としてはご覧のように、丸みを帯びていること。かつては波打ち際で、寄せ打つ波に削られたのでしょう。それが隆起して海上に出た結果、こういう形になっていると思います。
こちらの、すさみの「おおは」の岩棚では岩が直線的に割れていたり、ごつごつした面があったりして、あまり波に洗われて削られていないのと比べると、違いもわかります。
ということで、岩棚からすさみ方面を望みます。遠景に江須崎も展望できます。
朝8時過ぎでしたが、真夏のこの時期にはもう30℃は超しているようで、すでに日差しも厳しく照りつけるようになっています。
ということで、ここで撮るものは撮れたので、すぐに撤収へ。10分あるかどうかの撮影時間でした。
駅からほど近い海岸で。この時に次の電車まであと5分、海辺まで降りる時間はありません。
ホームに上がり、映画「たまご」を記念したモニュメントとともに撮る、定番の1枚。
こうして8時22分の電車で、見老津に向かいます。ここでの目的は、前日のすさみ撮影で見送った、松の下の海岸。
前日この辺りは通っているのですが、ここでも撮影する体力も気力もなく、見送っていました。見老津駅からほど近いので、この機会に青空の下で撮りたいところです。
しかし、これもほんのわずかの時間。
見老津駅着が8:33ですが、次に乗る上りの電車が8:55発。つまり、わずか20分強の間に往復して撮ってこようというのです。
駅から海岸への降り口まで300mほど、そこからやや険しい斜面を降りて撮影スポットまで出るのもあわせて、片道7-8分。正味5分あるかどうかの撮影時間で撮るだけ撮って、速攻で引き上げようという強行スケジュールです。
ということで、実行。
やっぱり抜けるような青空、しかも完全順光の時間帯で撮れると、美しさは格別です。
「松の下」という地名の由来かもしれない、松の木をいただいた巨岩も映えました。
これぐらい撮れれば十分な撮影成果ということで、本当に即座に後にします。
次の電車には十分間に合ったことを確認した上で、駅前の国道から撮影した海。
この後に向かったのが、こちらの記事で紹介した紀伊浦神でした。
酷暑と闘いながらの撮影、成果は十分とはいえ帰りの電車内ではひたすら体を休めるばかり、撮った写真をゆっくりPCで見て編集・整理する……という気力も起こらないぐらいでした。
帰った先の京都ではこれ以上の猛暑が待っていることを思うと(40℃行くかどうかというレベルでした)その意味でも憂鬱でしたが。
というわけで、今回もご覧いただきありがとうございました。