絶景でいっぱいの南紀すさみ町で、公式に選ばれた「すさみ八景」にとどまらない、知られざる絶景を紹介する「プラス八景」。
今回の第4弾は、「松の下」と呼ばれるスポットです。
これまた地図には載っておらず、地元の方に教えていただいた地名です。「松の下」という表記で合っているのかどうかもはっきりしないのですが、違っていたらごめんなさい。
紀勢本線・見老津駅で電車を降りると、駅前には最高のオーシャンビューが開けます。
そこから、ほど近くにある隠れた名所です。
駅を出て右手方向に国道を進むと上り坂になりますが、そこで左側に小道があります。この小道に入ると民家が何軒か並んでいます。「白石神社」という小さな神社があって、Google Map にも表示されています。
ここから少し進んでよく見ると、海岸に降りるルートが開かれています。
やや険しくて、ある程度動ける靴でないと厳しいかもしれません。でも途中に石段もあったりして、海岸への降り口としてそれなりに整備はされているらしいです。
すさみに何度となく足を運んだ私も、さすがになかなか気づきませんでした。
ただ国道上から見下ろして、この海岸にもなかなかの奇岩があって、もし降りられるなら見応えもありそうだけど……と思っていた程度です。
最初に気づいたのは2年前の夏。降りてみるとこんな絶景スポットが駅からすぐの場所にあったとはびっくりでした。それ以後、必ず訪れたい撮影ポイントに加わっています。数年前に比べてもそういうスポットが増えて、フルコースで撮影しようと思うとメニューが多くスケジュールもかなりきつくなった感があります。
やや大きめの岩石が転がった海岸です。背後の崖がそのまま崩れて転がっているのでしょう。
立浦のほうはもっと小さめでした。砂利というほど小さくはないのですが、手に取れるほどの大きさの石です。あちらは川が流れていたのか、あるいは打ち寄せる波に削られたためでしょう。
そういうわけで歩くにはちょっと気をつける必要はあります。
遠景には恋人岬、黒島も見渡せます。
そして「青い海に奇岩が群れなす」という、見老津の海らしい光景をここで望むことができます。
いくら海の青さが綺麗でも、ただ一面海が広がっているだけでは没個性的で、面白みに欠ける。こうやってとりどりの形をした岩が並んでいるからこそ、いっそう絵になるというものです。角度を変えればそれだけ見え方も変わるので、一つひとつのショットが個性的な一枚になります。
対岸には「その3」で紹介した立浦があり、岩の尖塔も見えます。
このときは対岸にはかなり高い波が上がっていた様子です。
そしてこの海岸ではランドマークとなっている巨岩。
立浦の岩の「塔」のような形ではないですが、高さは7-8mあり、なかなかの迫力。
頂には松の木が茂っており、ひょっとするとこれが「松の下」という地名の由来かもしれません。
より近づいてみると。
角度を変えて。これを撮影した去年の夏は、海が大荒れでした。
見老津駅方面に向けて撮るとこう。見え方がいろいろ変わるので、同じ岩で撮っても一つひとつが個性的な絶景になります。
奥に進んで望んだ漁港と戎島。なおこの崖が隔てているので、海岸伝いで見老津駅前まで出ることはできません。
こんな奇岩も。
反対方向に向かって進んでみると。
この崖の向こうに「その2」で紹介した立浦があるのですが、隣接していても崖に完全に遮られていて、越えて行くことは不可能です。
ここまではすべて夏の撮影ですが、次の2枚は昨年末に訪れた時の、夕映えに染まった風景。
いかがでしょうか。地図に載らない場所でも、こんな絶景に出会える。そういう体験が何度もできるのが、ここすさみの魅力にほかなりません。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。