光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

イソヒヨドリの京都進出はなお止まらない

 従来海辺を主な生息地としていたイソヒヨドリが、内陸にどんどん進出しつつあります。それは私の住む京都でもめざましいことは、過去の記事でも語りました。

naosuke21036.hatenablog.com

 この記事を書いてから5年になりますが、今や本当に京都のどこかしこでもあの朗々たる囀りが聞こえるようになり、今の季節であれば、声を聞かない日は無いといってもいいぐらいです。

 ひと頃なら京都にイソヒヨドリが現れれば珍鳥扱いだったことを思うと、隔世の感があります。

 こんなふうに新緑を背にした姿も、普通に見られるようになっています。

 山沿いの、わが家の前の電線でも。ちょっと空抜けした感があって写真としての出来は今一つになりましたが。

 こちらは電柱の上の雌。

 青空を背に、美声を響かせます。朝起きて窓を開ければ、ほぼ毎日のように歌声が聞こえてくるぐらいです。

 家の近くで、こんなのも目にしました。毎朝囀りを聞かせてくれた一羽だったかもしれませんが、やはり野鳥の生活というのは厳しいものだと感じられます。

 合掌。

 

 大通りや住宅地まで、京都でも街のいたるところで見られるようになっていて、その姿を下手に写真に撮ろうとすると、不審者と間違われそうで怖いところです。

 街中ばかりでなく、大原や静原、北山杉の里といった郊外まで行っても、普通に見られるようになっています。海辺どころか山中にも生息域を広げているわけです。

 以前の記事で、ヨーロッパではどの街でもクロウタドリの美しい歌声が聞こえるように、日本の都市ではイソヒヨドリがその役割を果たすようになってくれれば、という思いを綴ったことがありました。

naosuke21036.hatenablog.com

 それはほぼ実現したといっていいかもしれません。感覚的に言っても、生息密度はヨーロッパの街のクロウタドリに近くなっている印象を受けます。

 イソヒヨドリの内陸進出は京都に限った話ではなく、全国的な現象のようで、お隣の奈良でも目立つといいますし、関東でも同様のことが報告されています。

 イソヒヨドリは、その和名が示すように日本では主に海辺に生息するものの、海外では山岳地帯の岩場でも見られるようで、必ずしも海岸に特化した種ではありません。むしろ日本ではなぜ海辺にばかり見られるのかこそが説明すべき不思議とされていたほどですが、内陸進出は元々の生態に近づいているということなのかもしれません。

 なお、一部で海辺から内陸に「移動した」と解釈されることがありますが、別に海辺に住む個体が減ったわけではないようで、海辺に行っても普通に見られます。あくまで「生息域を広げた」と見たほうが正しいようです。

 こちらは5月に南紀を旅したときに、白浜駅の前で撮ったもの。ここも駅自体は海から数km離れてはいますが。

 上と同じ個体です。

 以前であれば、イソヒヨドリの声を聞くと「海辺に来たな」と実感するものでしたが、毎日のように内陸の京都でも聞いていると、年々その実感も薄れてきそうです。

 

 ことのついでに、こんな趣向も。こちらは昨年に南紀を旅したときの一枚。

 シルエットからカワセミに見えてしまいますが、実際はイソヒヨドリのです。

 その証拠に、同じ個体。

 どちらも青い背に茶色い腹というカラーリングが似ているので、ポーズ次第では見紛うこともあるのかもしれません。

 というわけで、今回もご覧いただきありがとうございました。