真夏の南紀すさみの撮影記、さらに。
恋人岬からおおはの海岸でもなかなかの風景が撮れましたが、ここでさらに足を延ばしてみたいのが、すぐ近くのスポット、立浦。
昼過ぎの時間帯はちょうど岩の尖塔がきれいに順光で撮れるタイミングだけに、外したくはないところです。
とはいえ、炎天下の撮影を続けて体力はともすれば限界。加えて周参見駅で補充した飲み物もほぼ使い切っており、渇きも厳しく襲います。
いったん見老津駅に行って自販機で飲料を買うことも考えましたが、その往復にも体力と時間を要することを考えて、あえてこのまま行くことに決定。
しかし立浦に辿り着くにはさらに体力を要します。おおはの海岸から足場も定かでない岩場を400mほど歩くか、いったん国道に出てから、斜面の緩やかなところを降りるか。陽射しを遮るものの無い海岸を数百メートル歩くのはこの状況では考えられず、まだしも日陰を通れる後者のルートを採りました。
ということで、暑さと渇きに苛まれつつも、海岸まで降り立ちました。
やはり明るすぎる夏の青空の下、ここの海岸美は映えます。これを書いている10月末の今はすっかり秋も深まり、真昼でもずいぶん明るさが落ちているのと、対比的に思います。
波打ち際では、エメラルド色も鮮やか。この辺りは波に転がされて磨かれたため、丸みを帯びた石が散らばります。
そして、この海岸ではひときわ目を引く、私は「白の塔」と呼んでいる奇岩。夏の昼下がりの明るい順光だからこそ、その威容も際立ちます。
白の塔と対をなすかのような、黒の塔。
さらに近くから撮るには近くの岩場の斜面を登る必要がありましたが、この時間帯では逆光になる上、そもそもこの暑さの中で岩場を登る体力が残されていなかったので、ここまでで撤収しました。
ともかくも、真夏の燦燦たる陽射しと青空の下で岩の尖塔を撮るという目的は果たしました。この光景を楽しめるのも実はこうして写真として眺めているからで、撮影のそのときは、炎暑のただなかで、とても絶景を堪能できるような状態ではなかったのです。
こういうことにつけても、写真というものがあってよかった、と実感します。
ここから残された力を振り絞って国道への斜面を登ると、あとは見老津駅へ。
ここで駅カフェ・のんびり屋さんが開店していればゆっくりできたのですが、お盆休みでした。
そのため冷房もかかっていない駅舎で、とりあえず日陰ではあるということで、しばらく休憩。ぐったりとなり、しばらく動くのも億劫。
時刻は午後3時を回ったぐらいで、さらにこの機会に撮りたいスポットが残っているので、いくらか体力が回復したところで出発。江住方面に向かいます。
駅を出発して間もなくの、戎島。さすがに3時を過ぎると夏でも日の傾きがはっきりしてきました。
日本童謡の園から望む江須崎。ここも素晴らしい絶景ですが、今回はあくまで通過点です。
江須崎を別角度から。こんなに海をエメラルド色で撮れたのも初めてかもしれません。
ということで、今回撮りに行きたかったのが、三崎というスポット。
上の地図では、左端の江須崎とは反対側の、右端にある岬です(三崎という岬って駄洒落みたいですが)。この辺りは典型的なリアス海岸、行くたびに岬があります。
2年前にも一度立ち寄ったことはありますが、その時は満足に撮れなかったので、青空のこの日にぜひカメラに収めておきたかったのです。
江須崎から4kmほど離れており、その間にも御待崎やほり崎など、これまた捨てがたい絶景スポットもあるのですが、過去に寄ったことがあるということで、今回はスルーします。
ということで、到着。左側に見えます。
島なのですが、干潮なら渡れるようです。ただこの時点で降り立って歩く体力など残っていないので、遠景からの撮影に徹します。島には弁天さまの社も建てられています。
さらにアップで。青空の下でここまで会心のショットに仕上げられたことで満足です。
ここを後にすること4時頃。日の長い夏なのでまだまだ夕方というより昼下がり、まだまだ撮ろうと思えば撮れたのですが、もう帰路を辿る以外の体力も気力も残っていません。レンタサイクルを走らせ、周参見駅までほぼ一直線です。
まあ、それでも15km ほど走る必要があったのですが。電動アシストのバッテリーが切れる前に借りたサンセットすさみまで戻れて良かったです。
ということで、撮影中はほとんど苦行のような一日でした。それを押して撮り続けたからこそ今こうやって最高の条件で撮れたすさみの海を改めて堪能できるので、それだけの価値はあったのですけど、撮っている最中のことは思い出したくないぐらいです。
この日も連泊しているので、まだ続きはあるのですが、それはまた別の機会に。
今回もご覧いただきありがとうございました。