真夏のすさみを振り返る その2
前回は夕焼け特集だったのでいったんお休みしていましたが、真夏のすさみの魅力をお伝えする記事を再開しましょう。
午前中は日置方面で鳥毛洞窟まで足を延ばし、引き返してみるとほぼ正午。この地でもそうはないぐらいの炎暑にやられ、そのままの撮影継続は不可能無理というところで、周参見駅舎内でしばし休憩と軽食。
ここで限界としてリタイアするか。真夏の蒼天という撮影条件としては最高のチャンスを逃さないためにも、午後も撮影を続けるか。
当然というか、選んだのは後者でした。20分ほど休み、飲み物を補充して見老津方面へ出発。
最初に海が開ける西浜のあたり。真上から注ぐに近い夏の陽射しを反射する海面です。
そして白島トンネルを抜けて、口和深へ。
こちらの記事でも紹介した通り、エメラルドグリーンが映えます。
辿り着くまで長く歩く必要があり、着いてもひたすら炎天下の撮影あるのみになるということで、今回はフェニックスクリフは見送りました。
代わりに、最近では定番の撮影スポットに加わっている、黒崎の海岸に降ります。
その名の通りの黒く粗削りな岩場が、青空に映えます。
浅瀬の澄んだ水もこのスポットの魅力。
冬に来たときは「青水晶」とでも呼びたくなるような澄み渡りようでしたが、夏だとそこまではなりません。海中の栄養分の違いでしょうか。
浅瀬も真夏のエメラルド色のもう1枚。
入り江もこんな鮮やかなグリーンを見せていました。
黒崎を後にして、さらに見老津方面へ。名切崎を望みます。
道の駅・イノブータンランドの辺りへ。
道の駅の前で。この辺りはどこで撮っても海のエメラルドが映えます。
炎暑の下では、午後の撮影も1時間足らずで体力を大きく消耗。日陰に入っては休みつつを繰り返しますが、この青空に合わせて撮りたいすさみは、まだまだあります。
ということで、さらに続きます。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
真夏のすさみを振り返る
以前の記事でのこちらは、その後に訪れた勝浦からのものでした。
naosuke21036.hatenablog.com
ですが、南紀への宿泊を伴う旅ともなれば、一日はすさみを入れたいのが私の譲れないこだわり。青空の日が続き、申し分のない撮影条件ともなればなおさらです。
ということで紀伊勝浦駅から始発の電車で、すさみへ。この方面の紀勢本線の始発は7時台と遅く、周参見駅到着は9時前になりました。
ここから、まずすさみ町をちょっと出て、お隣の白浜町に属する志原海岸で撮影したのが午前中で、この時の記事でとりあげました。
ということで、まずは周参見駅から志原海岸までの途での撮影を。
駅を出てまず見る海は、当然ながら海水浴場と稲積島。ご覧の通り、真っ青な空に、真夏らしいエメラルドグリーンが映えます。
写真には人を入れていませんが、まだ朝ながら、海水浴客の人出もありました。
ここから42号線に沿って、西へ向かいます。
オン崎を過ぎたところの湾。空には本当に雲一つありません。
ここから海岸道路を通って。海沿いまで険しい山が迫り出す、紀州らしい地形もよくわかるところです。
大海原の広がりが実感できるところまで出ました。
こちらの細長く突き出た岬が、小石の鼻。ちょうど白浜町との境ぐらいです。
そして、すさみ町を少し出た、安宅崎。明るすぎるほどの青空と草木の濃い緑が、エメラルドの海に加えて真夏らしさを引き立てています。
この後、鳥毛洞窟・志原千畳敷をめぐったわけです。
そして、引き返した道でオン崎を望んで。ちょうど正午ごろです。
これほどの澄み切った青空のもとで真夏の海を撮れるとは最高に近い撮影条件で、これまですさみを訪れたなかでもベストから二番目ぐらいなのですが、その反面できびしい条件でもありました。
恐ろしく暑い。
お盆休みの、暑さのピークの時期だから当然といえば当然ですが、最高気温37℃ほどの日が、こちらすさみでも連日だったのです。
例年なら、南紀すさみは、海沿いということもあって真夏でもここまで暑くはなりません。私の住む京都が夏の暑さがすさまじいのと比べても、訪れれば確実により涼しいと感じるものでした。
でもこの時は、全国的な猛暑が南紀まで及び、陽射しが容赦なく照りつけました。何も陽射しを遮るものの無い海辺の岩場での撮影だけに、暑さとの戦いでとにかく体力は奪われていきます。
午前中の撮影だけでもかなり暑さにやられ、いったん周参見駅舎内で休憩したものの、これで限界、リタイアしようか……とも考えました。
しかし、こんな抜けるような青空の下で、エメラルドが美しいすさみの海を撮れるチャンスはそうあるものではありません。このまま棒に振るのは実に惜しい。
進むか、退くか……私としては当然とも言えますが、前者を選びました。続きはまたの機会に。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
比較、春と夏の海と空~すさみ-日置より~
前回の記事でとりあげた、夏の白浜町日置の志原海岸。季節を違えて同じ場所を訪れてみると、その表情の違いを比べてみたくなります。ということで今回は季節比較企画です。周参見駅を出発して志原海岸までの、だいたい同じ場所で撮った早春の3月と真夏の8月の写真を並べてみます。違いを見比べてみてくください。
地図はこちら。
このサイズだと地名があまり表示されていませんが、所々を拡大してみると出てきます。
ということで、まず駅から出てオン崎を越えたところにある湾。
まず早春。
こちらが真夏。比べてみても、まず何より画面の「光度」「明るさ」がかなり違うことがお判りでしょう。そして、海も夏のほうがよりエメラルド色寄りです。
すさみ町と白浜町の境界にある潮来橋から、小石の鼻という名の岬を望む。
こうしてみると、晴れた日のほぼ真昼時に撮っても、空の青さも画面の明るさも、季節でずいぶん違うものです。夏は燦燦たる日差しで、岬もくっきり浮き出ています。
さらに進んで、安宅崎へ。この辺りはリアス海岸で次々と岬が現れるのでどこを撮っても絵になります。
まず早春。時期からして植物はまだ冬枯れのままです。でも海の色はすでに早春らしい明るさが感じられます。
真夏には手前の植物も青々と茂っています。岬の樹々は基本的に常緑樹ですが、それでも緑の濃さは、夏の方がいちだんと濃いようです。
角度を変えて。早春はまだ昼間でも太陽がそこまで高くなっていないので、真昼でも方向によってはこんなふうに逆光になりやすいところです。
夏の昼間は太陽が高いので、基本的にどの方向にカメラを向けても逆光になりにくい。
また別角度から、これはその前に12月に撮影したもの。
気温で見れば寒さはまだまだこれからの季節ですが、「光度」で見た場合は冬至のあたりで、昼間でも一年で最も暗い季節です。海の色も、青くはあっても明るさがありません。
それに比べれば、早春の3月はずいぶん明るくなっていますね。海の色もずっと明るいマリンブルーになっています。
夏はやっぱり空の青さも海のエメラルドも鮮烈ですね。
こちらは日置川河口付近。
夏。中洲の緑の違いが際立ちますが、背後の山は基本的に常緑樹林なので年中緑に覆われていますが、それでも夏の方が緑の鮮やかさがあります。
道の駅・志原海岸から鳥毛洞窟へ向かう道より。
昼間でも、早春と夏とではこれだけ明るさも違うことがおわかりでしょう。
鳥毛洞窟から海を臨む定番のショット。
最後に大崎方面を望んでの撮影から。こちらは12月に撮ったものもありましたので、冬、春、夏と並べてみます。
同じ場所で撮るからこその季節の表情の妙、楽しんでいただけたでしょうか。
季節は秋分の日を過ぎていよいよ秋本番に入り、夏にはあれだけ強烈だった日差しも、日に日に和らいで、そして弱まっていきます。
日の短い季節が苦手な私にとっては、それだけでもちょっと憂鬱な気分にさいなまれますが、季節の移ろいとして、その時節ごとの表情を楽しんでいこうと思います。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
すさみ町・口和深~海の色がいちばんエメラルドな場所~
久しぶりに、南紀すさみの話題から。
今までの記事で立ち入って紹介していなかったところで、夏には海のエメラルド色がとりわけ鮮やかに映える、口和深の辺りをとりあげましょう。
これは、2年前の真夏に訪れた時。
ご覧の通りのエメラルド色。エメラルドの海といえば沖縄や南太平洋のイメージがありますが、本州最南端に近いこの地でも、夏ならこうやって出会うことができます。
地図ではこうです。
見た目はエメラルドグリーンであっても写真に撮ると青寄りの色になってしまうことが多く、なかなか写真にうまく目で見た印象を残すことは容易ではなかったりします。
海沿いに道路(国道42号線)が続くのはここまで。この岬の反対側がフェニックスの褶曲に続いています。
海がエメラルド色に見えるのはどんな時、条件かは、こちらの記事で語りました。
海が青く見えるのは、波長の長い色の光は水中では吸収されてしまい、波長の特に短い青の光だけが散乱するからです。でも水中を進む距離が短ければ青の次に波長の短い緑の光も吸収されない。だから浅瀬のあたりは澄んだ水でも緑色がかって見える。
また夏の昼間であれば太陽が垂直に近い角度で射し、それだけ水中を進む距離が短くなるので、緑の光も吸収されきらない。
というわけで、夏の遠浅の海なら、南の島まで行かなくても、エメラルド色に出会えるチャンスがある、ということでした。
ここ口和深は、その条件を満たしているということでしょう。
海岸美もなかなかです。こちらは去年の6月、荒れ気味の海の日に撮影に行ったときのもの。
波が打ち寄せやすい位置にあるためか、荒々しく削られた岩場が目を引きます。
荒れ気味の日の方が、海の色はより色鮮やかです。
同じ場所でも海の荒れ具合で印象が変わります。
なお、ここから道路はしばらく海沿いを離れますが、100mと進むだけでこんな光景も。晩夏の撮影です。
この景色だけを切り取ったら、山村のように見えてしまいます。
でも後ろを振り返ればさきほどの海なのです。
海も山も川も、美しい自然風景が広がるのが、周参見なのです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
すさみ・見老津駅前に広がる青い海
久しぶりに、南紀すさみより。
例年であれば一度は足を運び、初夏の海の表情をカメラに収めたいGWの時期。ですが新型コロナウィルス禍のただなか、仮に万一にも私が感染していた場合、愛するすさみにウィルスを持ち込むわけにはいきません。
ということで、過去の撮影で、私自身も旅した気になることにしましょう。
今回は全国屈指の海駅だと確信を持って私が断言する、見老津駅の前の海を特集します。
ホームからも海は望めますが、写真に撮ろうとすると電線や電柱が邪魔をするので、駅舎を出てすぐ前の国道からの撮影です。
駅を一歩出れば、これだけの海が広がります。
海の青さもさることながら、形もとりどりの岩が点在し、背景の山もあわせて、「海が広がるだけ」の単調な景観になっていないのも魅力です。
左手には婦夫波で知られる黒島も見えます。
右の大岩。
少し離れて広角で撮るとわかりますが、この岩は防潮堤と一体化しています。
別の奇岩。
近づいてみると。
左の岩は地層があらわれていますが、このように地層(だいたい砂泥互層)が削られてできた岩と、先の大岩のような、おそらく岩脈に由来すると思われる岩とが混在しているようです。これが、この駅前の海独特の景観を形作っているのでしょう。
岩の形がとりどりなので、ちょっと角度を変えて撮るたびに個性的な絶景になる。このすさみ全般に言えることですが、駅を一歩出るだけでそんな景観に出会える。それがここの魅力です。
新型コロナウィルスがいつか収束した日には、ぜひ訪れてみてください。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。
すさみ、早春の青い海
しばらく間が空きましたが、南紀すさみより。
駅から正面の道を進めばすぐに出られる、すさみ海水浴場と稲積島。早春の陽光の下、はやくもエメラルド色が混じってきた感じです。
砂浜からだと。
ここからは日置での撮影を終えた後に足を運んでのことです。黒崎でクロサギ……となんてダジャレにしても寒いですかね。
こちらも海はやや荒れ気味。白波が映えます。潮も満ちてきて、磯も水を被っています。
奥の方では、波が結構高く上がっているのも見えます。
逆光の方向。海面のキラキラが綺麗です。
早春なのに、ここの海はもうエメラルド色ですね。
そして恋人岬へ。婦夫波もしっかり見られます。
今回は「おおは」での撮影に久々に時間をかけました。こちらは降り口から望んだ遠景。
岩の造形美は、青い空の下だからこそ際立ちます。
岩棚の上から洋々と広がる海を望みます。手前にあるのはただの水溜まり(潮溜まり)のように見えて……。
実は深さ1mはありそうな岩の裂け目。これでもちょっと深さは分りにくいですかね。この岩の上まで押し寄せるほどの高波のために入り込んだのか、魚が泳いでいることもあります。今回は魚の姿は見られませんでした。
岩場の先端の方は低くなっていて、このように上まで波が押し寄せることがあります。海が本当に荒れている時であれば絶対にここまで近づいてはいけないところです。
黒島を望んで。日が高くなると、逆光の海の撮影も本当にしやすくなります。
改めて引き返して、岩場の全貌を。地層の層面に沿って平らに割れた岩のつくりがなんとも荒々しい美しさを見せています。
旧国道42号線の絶景スポットへ。眼下50mは荒海、もう夕方も近づき陰影が出来ているのが迫力を増します。
望遠で高浜海岸千畳敷を。荒れ気味の海だからこそ逆光のキラキラも綺麗です。
最後は夕日。稲積島前の防潮堤からの撮影です。天気が良すぎたために太陽がほとんど赤く染まらず残念でしたが、最後にダルマ夕日になったのだけは収穫でした。
ということで、すさみでの撮影はここまで。
すさみの「イノブータン王国」建国記念日である5月3日に予定されていたイノブタダービーが中止になったとのこと。コロナウイルスの流行は予断を許さず、当分ここまで足を運ぶことはできそうもありません。
いつか事態が落ち着いて、また訪れられる日を待ち望んでいます。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
早春の青い海~すさみ-日置間~
先の記事で触れたように、鳥毛洞窟は満潮時には岩場が水没してしまって行けません。着く頃には干潮時刻から1時間以上が過ぎていて、これから潮は満ちてくる一方ということで、とにかく早く着いてこちらでの撮影をまず完遂する。それがもともとの予定でした。
これが車での移動であれば、目的地を目指して一直線だったでしょう。けれども今回は周参見駅からレンタサイクルでの移動。10kmほどの行程にはどうにもカメラを向けたくなる絶景が次々と目に入りますから、つい自転車を停めては撮影するという道草を重ねてしまいました。最高の青空にして、海も荒れ気味という理想的な撮影条件なのだからなおさらです。
天気が崩れそうな気配はまずなく、帰り道で撮ってもいいかもしれませんが、時間帯が変われば太陽も動き、順光で撮れなくなるかもしれない。この条件での撮影は逃せない……ということもありました。結果として目的の鳥毛洞窟への到着が遅れ、潮も満ち始めていて安全に撮れるのはぎりぎりに近いということになってしまったのは、咲の記事で書いた通りです。
そんなわけで、今回はすさみ~日置間のコースで道路から撮った絶景の数々を取り上げていきましょう。だいたい海沿いの県道243号線からの撮影です。
まず周参見駅を出発して、最初のトンネルを抜けたところ。早春の青空と日差しに青い海も映えます。
やや逆光ぎみに撮ると、荒れて波立っている海はキラキラと美しい。日も高くなってきたので太陽が直接カメラの方向に射さず、逆光撮影もしやすくなってきています。
すさみ町と白浜町の境界辺りで。道路沿いに咲いていた黄色い花越しに海を望みます。ここは小石ノ鼻と呼ばれる岬です。先端が細く張り出していることから付けられた名前でしょうか。
岬により寄って。ここからの眺望はかつては公式「すさみ八景」の一つに数えられていた、「潮来橋から望む枯木灘」です。前から撮ってみたい風景でしたが、何度か通った時も天気が今一つだったり逆光だったりでうまくいかず、ようやく満足のゆく一枚が撮れたように思います。
そして日置川の河口へ。ご覧のように河口付近には大きめの中洲があり、中芝と呼ばれます。工場や会社の建物、船着き場などが設けられ、利用されています。
ここまでが往路。魅力的な風景がいくつも入って撮りたい誘惑に耐えられず、30分以上は余分に使ってしまいました。
なんとか鳥毛洞窟も潮が満ちる前に撮影できて、ここからは帰り道です。
ふたたび、日置川河口。橋の上からの撮影です。
橋を渡り切って、河口から広がる海を望みます。漁港と日置の町並み、そして遠景にはさっき撮ってきた志原海岸が広がります。
こちらは安宅崎という岬。地図にも表示されています。降り口には用途は不明ですが建物が一軒あり、その前には自販機もありました。
行きと比べても太陽が西に寄ってきたので、逆光の度合いが増します。左手側のキラキラが眩い。
海岸まで降りて。こちらが左の逆光方向。
こちらが右の順光方向で、岬の側です。
遠景から望むと。この辺りは典型的なリアス式海岸(最近では「リアス海岸」の呼び方になっているようです)なので、行くところ行くところに岬があります。
そして周参見駅も近づき、オン崎を望むところまで。岬の上に立つのは今や廃墟となって久しいホテル・シーパレスすさみですが、遠景ではまだまだすっかり景色に溶け込んでいます。
ということで、移動区間でも存分に海の撮影を堪能できた今回の旅の前半。
この後、当然のようにすさみでの撮影に入りましたが、それはまた後の記事で。
今回もご覧いただきありがとうございました。