美しい海を表現するのに「エメラルドグリーン」という色の名が使われることがあります。沖縄や、さらに南の島の海についてよく言われます。でも日本本土の海でも、この色で見られることがあります。
私がこのブログで徹底して推している南紀すさみの海でも、もちろんです。本州最南端の串本にほど近く、本州では最も南国的なところではあるわけですが。
昨夏の撮影でも、こんなエメラルドグリーンの海が見られました。
ではそんな色の海は、どういう場合に見られるのか。やはり水自体には色はないのに、です。
前の記事で、海の色が青いのは、水中では波長の長い光が吸収されて、青色の光だけが散乱されるから、ということをお話ししました。でも水中を進む距離が短ければ、青の次に波長の短い緑色の光も吸収されない、ということがあります。だから緑色も加わり、いわゆるエメラルド色になるわけです。
その証拠に、たとえばこんな感じ。澄んだ水なのに、浅瀬のところはグリーンに見えます。
またこちらの写真では、水の浅い岸辺では緑がかって見えるのに、沖に行くほど青みが増すことがわかると思います。
海がエメラルド色に見えるのは夏らしいというのも、夏の真昼であれば太陽高度が高く入射角が小さくなり、同じ深さでも水中を進む距離がそれだけ短くなるからでしょう。
沖縄やさらに低緯度の熱帯では年中真昼の太陽高度が高いので、いつもそう見えます。こうした地域では遠浅の海が多いこと、そのため海の底で反射された光も見える色に加わることも一因でしょう。
けれども条件さえ心得ておけば、そこまで南に行かなくてもエメラルドの海を撮るチャンスはいくらでもあります。
- 晴れた日の夏の海に撮る
- 浅瀬を狙う。遠浅の海なら絶好
ということです。
季節は春から初夏へ移ろうとしており、いよいよそのチャンスの時期も近づいています。読者の方々にも参考になればと思います。
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。