3月の桜 4月の藤
3月は桜。
4月は藤。
これは、花札での月と花の対応です。
ですがもちろんこれは、旧暦に基づいたもの。花札は16世紀、南蛮文化渡来の時代にポルトガル人によって伝えられたトランプを原型として江戸時代に成立したものであり、当時の日本人はまだ旧暦に基づいた生活を送っていたから、当然です。
旧暦は現在の新暦とは1ヶ月強ずれていますから、現在の月と季節の対応とは、それだけずらして理解する必要があるはずです。
それなのに、新暦が定着して久しい現在の日本で、「3月の桜」「4月の藤」が普通に見られるようになっているのが何とも。
気候変動の影響を、ありありと感じるところです。
特に今年の桜の季節は、異例に早いものでしたから。
こちらは、鴨川沿いで比叡山を望んで。
3月末ならまだしも、春分の日の頃の撮影です。
3月の桜が当たり前になって、旧暦に基づいていたはずの花札に対応するようになってしまっています。
そして、今日の撮影から。
4月の藤。桜の季節が早ければ初夏の訪れも早いわけで、まだ4月の半ばというのに、初夏の季節感を代表する藤がこんなに咲き誇っています。
八瀬の辺りでの撮影です。
同じく八瀬で、新緑を撮りました。
ここまで緑も鮮やかになってくると、新緑の見頃もそろそろ終わりというところです。
「新緑は5月より4月」というものの、平年ならこれぐらいになるのは4月の代わり頃、25日ぐらいです。あとの新緑撮影は緑がすっかり濃くなって消化試合も同然となると思いますが、それがこんな時期に来てしまうというのはさすがに季節の移り行きが早すぎです。
名残惜しいので、探せば見つかった散り残しの桜を。
高野川沿いの桜並木です。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
京都・桂川の桜2023
前回の鴨川に続き、今年の桜のふりかえり。
今回は京都の知る人ぞ知る桜の名所、桂川のJR鉄橋付近の背割りを特集します。
このスポットは、以前の記事でも紹介しました。
検索でこちらの記事を覗いてくださる方も多いようです。
このスポットの魅力は、濃いピンクの河津桜とソメイヨシノなどの淡い桜色の樹種がともに植えられていて、紅白濃淡の桜色が堪能できること。
今年も、こんな具合です。
こんなふうに交互に植えられているところもあります。
例年、河津桜の方が開花・見頃とも早いので、満開の時期が一致しない年もあり、ソメイヨシノが見頃の時期にはもう河津桜は散りかけているということもあります。
見頃が重なるのは、あってもごくわずかの期間。今年は3月の異例の暖かさゆえにどちらの開花もかなり早かったのですが、ちょうどその時期に、しかも最高の青空の下で、撮影する機会が持てました。
しかもこのスポットの魅力をさらに増すのは、土手に菜の花(セイヨウカラシナ)が群生していて、その黄色も合わせた春色のコラボが見られること。
こんなふうに紅白の桜と、菜の花の黄色とを取り合わせる春色いっぱいの光景も楽しむことができます。
アングルを変えて。文句なしの青空のため最高に映えるところです。
3月末という早い時期にもかかわらず、もう芽吹きはじめたケヤキの新緑を背景に。
こちらは白い花の桜で、オオシマザクラでしょうか。
こちらの新緑はもうかなり色づいています。
せっかくなので、菜の花から新緑を見上げるコラボも。
というわけで、かなり早かった今年の桜の季節ですが、このスポットでも満足なショットを数々得る事ができたように思います。
足を運べなかった人に、この記事を通してお届けしました。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
京都・鴨川の桜2023
あまりにも早く始まり、当然終わるのも早かった今年の桜の季節。
例年ならまだ見頃のただなかという時期なのに、もう街中の桜もほとんどが葉桜、花びらが残っていればいいほうという状態です。
今年入学の学生さんたちなど、入学式の頃にはもう桜はほとんど散っていて、「桜とともに入学」することができなかったんじゃないかと思います。
ということで今年の桜関連の投稿は「ふりかえり」となりますが、まずは身近に桜の名所がいくらでもある鴨川から。
こちらのショットをどうぞ。
北大路橋から少し下流のあたりでの撮影ですが、ユキヤナギと合わせての春色コラボ。青空をバックに、真っ白と桜色が映えます。
このアングルは気に入っていて、昨年も撮ったものの青空に恵まれなかったので、今度こそ望み通りの一枚で撮れました。
さらに新緑とあわせて。
桜と青空。
大文字山をバックにも。
場所を変えて、北山大橋西岸でケヤキの新緑とのコラボ。桜の開花が早ければ、新緑の芽生えも早かった今年の春です。
青空の下で、例年になく早い春の季節感です。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました
夕桜の愉しみ
「夕桜」―この言葉の響きもなかなかいいものです。
3月が異例に暖かかったこの春は、当然のように桜の開花も早く、お彼岸の頃にはもう咲き始めていました。
桜の季節の終わりもやはり早く、例年ならいちばんの見頃となるだろう今の時期には、もう葉桜となっている樹が大半になっています。
ということで、この春の桜の振り返りです。
今年の桜の季節には、たびたび印象深い夕焼けが見られました。
冬の間は夕焼けはほとんど見られないものですが、春に入ると、いちばんの見頃である夏(秋ではありません)ほどではないものの、たびたび夕焼けに出会えるようになります。
そして今年は、ちょうど桜の見頃の時期にうまく合わせたように焼けた日がありました。
まずはこちらから。京都は鴨川・北大路橋からの撮影です。
南から東の空にかけての雲も染まるなど、夕焼けが全方位になるのは夏に多い光景ですが、珍しく春先にもこうなりました。
大文字山をよりアップして。前景に並ぶ満開の桜が、東空の夕焼けに映えます。
こちらは比叡山。やはり東空の夕焼け雲の下、桜とユキヤナギが春を飾っています。
東空まで焼けてくれたおかげで、桜まで順光で撮れたのが気に入った点。
夕桜、つまり夕日や夕焼けとコラボして桜を撮ろうとすると、どうしても逆光になって、桜が暗くなりやすい。肝心の桜が目立たないというのが不満として付きまといます。夕暮れ時に西の方向に撮るとどうしてもそうなってしまうわけです。
夕焼けが東空まで及んだおかげで、それが避けられ、桜も桜色のまま順光で表せることになったわけです。
こちらは東岸から西空の撮影。ご覧の通り夕焼けは待つかで素晴らしかったのですが、桜は暗くなってしまっています。
さて、また別の日。
鴨川デルタから上流側の葵橋の付近での撮影。
この日は春先には珍しいぐらいの焼け方で、川面も赤く染まっていました。
さらに真っ赤に焼け、桜もなんとか暗くならずに桜らしさ残して撮れました。
別の日、こちら側の桜越しに。この日の染まり方はこんなものでした。
これまた別の日。高野橋で染まる雲を見つけ、これは夕焼けが行けるかも、と思い北大路橋付近まで移動。
見頃も終りに近づいた桜越しに撮ります。
西空は真っ赤な染まりようでした。
夕焼けそのものは見事でしたが、位置的に、対岸の桜とともに夕焼けを収めるのは難しい場所だったのが心残りです。移動する時間はありませんでした。
ということで、異例に早く始まり終わろうとしている今年の桜の季節ですが、たびたび美しい夕焼けとコラボできたのが、今年の特色だったと思います。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
春紅葉の味わい~京都・八瀬より~
これは、秋の写真ではありません。
京都郊外、秋は紅葉の名所として知られる八瀬で、3月末に撮影したものです。山桜もあるので、春の写真であることがおわかりかと思います。
みなさまは「春紅葉(はるもみじ)」という言葉をご存じでしょうか。
春先、芽吹いて間もない若葉が、まるで秋の紅葉のように見えることがあります。秋ではなく、春の紅葉。それを指すのが「はるもみじ」という言葉です。
芽生えたばかりで葉緑素が十分に生成できていない若葉は、紫外線に弱い。その葉を保護するため、紫外線を吸収するアントシアニンという色素を生成する。これは秋に紅葉をもたらすのと同じ物質なので、赤っぽく色づいて見える、というわけです。
「もみじ」というのは本来葉の色づき全般を指す言葉ですから、この現象はモミジだけでなく、他の落葉樹にもみられます。
葉緑素はほどなく生成されるので、秋のように真っ赤に染まることはありません。短期間で新緑色にとって代わられていきます。
もう青々としてきたモミジもあります。
ヤマザクラも春紅葉が見られる樹で、上の満開の樹と、下のほぼ散って赤い葉を茂らせている樹とが対照的です。野生種なので個体差が大きく、開花時期にも差があるのです。
散るとすぐ青葉を茂らせるソメイヨシノと違い、葉桜になってもまず春紅葉になるのが、ヤマザクラの特徴です。
数日もすればこんなに青々としてくるので、芽吹いて間もない、わずかの間しか見られない光景でした。桜の開花も異例に早かった今年は新緑の芽吹きも早いので、ここではもう春紅葉の時期は過ぎかけています。
ということで、「春紅葉」という現象を知っておくと、春先の季節感を味わううえでも、一段と楽しみが増す、というお話でした。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
京都高雄・西明寺のミツバツツジ2023
秋には紅葉の名所として知られる京都郊外、高雄。
春の桜の季節にはそこまでの賑わいはありませんが、実はここには桜とは別に、知る人ぞ知る絶景が出現する。
こちらですでに取り上げた、槙尾山西明寺の裏山に群生するミツバツツジ(より正確にはコバノミツバツツジ)の群生です。
桜の季節に訪れると、突如として山一面が彩られる光景に出会えます。
上の記事で触れたように、2年前に行った時にはやや見頃を過ぎていて、まだ花は残っていたものの、新緑のなかに埋もれるような状態でした。
例年なら4月10日ぐらいが見頃で、それぐらいの時期に行ったのですが、一昨年も今年に似て春の訪れが早く、桜もこの時期にはおおむね散っているぐらいだったため、ベストな時期を外してしまったようです。
今年も春の訪れが異例に早く、一昨年と条件が似ているなら、4月初めにこそ行くべきだと見て、昨日、足を運びました。
ご覧の通り、大当たり。最高の青空の下、見事にベストな時期の光景に立ち会うことができました。
山腹一面がこのように、ツツジのピンクに彩られるのです。
植えられたのではなく自生しているらしく、ここに元々生えていた樹木が伐採されたあとに進出して、優占種となった結果のようです。近辺にもいくらか、自生しているスポットがあります。
せっかくなので、何枚も。
山の上層の杉林とのコントラスト。
近くの桜越しに。これで見てもわかるように、桜の見頃とだいたい重なります。
ところどころモミジも生えていて、青もみじの新緑も彩りを添えます。
山桜もちらほら生えています。ツツジもヤマザクラも個体差があるので、よく見ると花の色の濃淡も微妙に違って、味わい深いものです。
もう1枚、山桜のコラボで。
こちらはやや遠景で全貌を。
群生部分のみのクローズアップ。
という具合に、今年は最高のタイミングで撮ることができました。
来週末まで見頃が続いているかどうかはわかりませんが、よろしければみなさまもどうぞ。
実はその前に嵐山で撮影していたのですが、それについてはまたの機会に。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
3月の新緑2023
異例の暖かさだった今年の3月。私の住む京都でも、春分の日頃には桜も咲き始めていました。下手をしたら3月中に散ってしまわないかというぐらいでしたが、どうにか4月に入るまでは持つようです。
折からの気候変動ゆえでしょうが、2年前、2021年の春もこれに近かったので、そこまで驚きではないところです。
桜が早ければ、新緑の芽吹きも早い。
新緑は5月より4月こそ見頃。これは当ブログでは再三強調しています。
何より、芽吹いて間もない若葉の繊細な色合いが見られるのは春先だからです。
とはいえ、それはたいてい4月の話であって、3月から新緑が方々で見られるとは、今年の季節の異例ぶりが見てとれます。一昨年でもここまで早くはなかった気がします。
こちらは春分の日頃、鴨川上流での撮影。柳は他の樹種に比べても新緑の芽生えは早いものですが、こんな時期にもう、みずみずしい新緑を芽吹かせています。
同じくケヤキで数日後。もうずいぶん青々としてきています。
ケヤキは一本一本の個体差が大きく、秋の色づきも黄色だったり赤だったりと違ったりしますが、こんなふうに新緑の芽生えるペースも違うことがわかります。
鴨川西岸で満開の桜とともに。桜と新緑、時期的には若干ずれることも多いですが、こんなふうに1枚に収められると季節感ありありです。でもまだ3月。
ヤナギも合わせ。奥のケヤキはまだ芽生えて間もないようです。
こちらは鴨川東岸での撮影です。
私が新緑撮影のメインフィールドとしている八瀬の辺りの高野川。
見頃は新緑もまだこれからですが、3月からこれだと、時期的にもかなり早そうです。
年ごとの季節感を比べるのも、自然写真撮影の楽しみの一つです。
ということてだ、今回もご覧いただきありがとうございました。