季節ものというのはリアルタイムで撮れたものより、それに先立って過去に撮れたもので語ったほうが、このブログをお読みいただいた方が今年実際に足を運ばれるうえでも有意義じゃないかと思います。何より、私も先月にブログを始めたばかりですから。
私は京都在住でありながら、これまでのブログでユリカモメの話以外で京都のことを書いていませんでしたが、今回は京都のことで。 ということで、今年の桜の季節に先立って、京都の知られざる桜の名所を紹介します。
神社仏閣のあふれる京都は当然ながら桜の名所には事欠きません。それらについてはすでに語り尽くされていることでしょう。
でも、そんな名の知れた場所以外でも、知られざる名所というのはたくさんあります。
その一つが、ここ。桂川の土手。
桂大橋から東岸を下流に向かって進み、桂川緑地公園を通って、JRの在来線と新幹線の鉄橋のあたり、特に下流側です。
ここにはソメイヨシノと河津桜、二種類の桜が植えられています。
うまく両者の時期が重なると、濃淡二つの桜色の絶妙のハーモニーが見られるのです。
そして土手の斜面には菜の花(畑で栽培されるものではなく、セイヨウカラシナという外来種ですが)が咲き乱れる場所もありますから、その黄色も合わせて撮れば、さらに春色のあふれる色彩空間となります。
草の緑、そして(晴れていれば)春らしい空の明るい青さとあわせて、これだけすべてが「春」を表現するような光景も、そうは出会えるものではありません。
晩秋もまた色彩豊かな季節ですが、こちらは木々が燃え上がるように赤や黄色に華麗に色づきながら、その後に間もなく訪れる最も厳しい冬という季節を予感させて一抹の寂寞を感じさせます。それに対して春色は、ひたすらに繊細な色合いでありながら軽やかで快活さにあふれている。そんなふうに思えるところです。
今年は暖冬でしたから、春の訪れも桜の開花も早いものと予想されます。
この春色のハーモニーが見られるとすれば例年なら3月と4月の境目ですが、もしかするとそれより若干早いほうがいいかもしれません。
基本的に河津桜のほうが開花が早いので、ソメイヨシノと両方の見頃が重なる時期は限られています。年によっては完全にずれてしまいます。うまく重ねて撮れる年はラッキーです。
ちなみに川の東岸なので、順光でビビッドに撮影するには午後に行くのがおすすめです。
夕映えに染まると、こんな感じです。