2022年の終わりを前に
今年最後の記事になります。
年末のこの時期には、来たるべき新年に向けてか、たくさんの方にこちらの記事をご覧いただいているようです。
改めまして、感謝申し上げます。
今年はさほどの頻度で投稿しませんでしたが、いくつもの写真で振り返ってみたいと思います。
ということで、まずは桜から。
私のお気に入りの桜名所、桂川です。ご覧のように河津桜とソメイヨシノが一緒に植えられており、うまく開花時期が重なった年には、濃淡の違う桜色のコラボが楽しめるスポット。菜の花の黄色とも取り合わせた春色の競演として撮影しました。
こちらは鴨川沿いで、真っ白なユキヤナギとのコラボ。青空に映えます。
続いては新緑です。ここ数年、私のメインの撮影テーマの一つとなっていて、「5月より4月に撮る」「山桜との春色のコラボで撮る」など、いろいろとこだわりを入れています。
叡電八瀬駅近くのとある里山で。芽吹いて間もない淡い緑色と、山桜とをあわせます。
4月から撮ることで、「いろんな緑の色合いを楽しむ」ことも、新緑撮影では大事なポイントだと気づいています。
続いては夕景。
昨年、一昨年に比べると今年は夕焼けの当たり年とはいえず、ベストシーズンである夏(秋ではありません)出会えた頻度も低いうえ、「これだ!」と思えるような感動的な夕焼けというのも、それほど目の当たりにする機会がありませんでした。
その中でも、気に入ったものから。
鴨川のピンクモーメントです。
こちらは上高野の田園。田んぼへの映り込みで夕景の美しさを二倍にします。
私の愛する南紀の田舎町・すさみも、コロナ事情もあって、相変わらずそれほどの頻度では足を運べませんでした。
それでも5月の連休に訪れた時には最高の天気のもとで撮れましたので。
最近すさみでも気になっているスポットの口和深のあたり。こんなふうに岩が林立する景観が面白いと感じました。どんなふうにして形成されたのでしょうか。
こちらは同じ口和深のあたり。
この記事でも取り上げたように、晴れた日だとここの海のエメラルド色の美しさは絶品と言えるものなのですが、この時にはなおエメラルドが映えていました。
私の撮影でたぶん一番オリジナリティを主張できるかもしれない、雫の煌き。
去年の豪雨で年来の撮影パートナーだった一本の杉の樹が失われてから、改めて煌きの映える場所を探していますが、そのなかで会心のものを。
まるで指輪のように。
色と光の競演ともいうべき一景。
そしてまだ記憶に新しい晩秋の、秋色から。
また機会を見つけてゆっくり語りたいのですが、秋色撮影についても、私のテーマはかなり固まってきました。まずは「カラフルに撮る」こと、そして「モミジ以外の秋色にも注目する」ことです。
こちらは八瀬でのケヤキを中心とした秋色。まだ11月の上旬でした。
こちらは八瀬駅前、もみじの小径の燃える秋です。
ということで、駆け足ながら今年1年の撮影で代表的なものを振り返ってみました。
私のブログにお付き合いいただいた読者の皆様、改めて感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願いします。それではよいお年を。
雫の煌き~それは「クリスマス」の写真?~
まだ「秋らしさ」を残していた昨週末から一転、寒さ厳しい冬本番となってきました。
街中は、間もなく訪れるクリスマスに向けて、至る所でイルミネーションが輝くようになっています。
ですが、最近何とも言えない気がしたことを、ひとつ。
私のこだわりの撮影テーマ、雫の色とりどりの煌き。
そのいくらかはGoogle Photo にも保存しているのですが、このような写真が、被写体別だと、しばしば「クリスマス」に分類されていることです。
google の人工知能は、これをクリスマスツリー、あるいはイルミネーションの写真として認識しているようです。
純然たる自然写真、雨が残した水滴が太陽の光を屈折させることで出現する光景なのですが、知らない「人」が見たらそう思えるかもしれません。この撮影方法については私もオリジナリティを自負しています。
同様の写真は他では見かけないため、「似たようなもの」としては、AIもクリスマスツリーの写真ぐらいしか見つけられないかもしれません。
ちょうどクリスマスの時期に撮影したものならまだしも、時期外れの春夏~初秋に撮ったものですら「クリスマス写真」扱いされていたりします。
Google Photo の被写体別自動分類では、他にもたまにおかしなのがあります。
たとえば「湖」の分類。
この夕景写真は田んぼなのですが、「湖」に入れられていたり。
こちらは鴨川なのに、これまた「湖」。
すさみの海なのに、これまた「湖」とみなされています。
写っているものだけを見て人工知能はそう判断しているらしく、画像データには含まれているはずの位置情報は参照していないらしいことがわかります。
「どこで撮ったか」が分かれば、湖ではありえないことも判別できるでしょうから。
また「夕焼け」の分類だと。
これは、朝焼けの写真です。撮影時刻の情報をもとにすれば朝撮ったものであることはわかるはずなのに、そういうデータは参照せず分類している。
また「廃墟」の分類に。
出張でローマを訪れた時の遺跡の写真がそこに入るのはわかるのですが。
こちらは南紀・古座の虫喰岩という、他ならぬ自然物で、廃墟ではありません。
まして、桜の季節に撮ったこの姫路城の写真が「廃墟」扱いなのは、ちょっと笑ってしまいました。
機械らしく気が利かないというか、まだまだ人工知能の画像認識技術って、こんなものなのか。そういうのを見ると、不便さを感じるというより、まだ人が認識するのには遠く及んでいないという、ある種の安心感まで覚えてしまうところです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
残秋というもの
「残秋」という、美しい響きのことばがあります。
残された秋。時候の挨拶としては立冬時期に使うものとされますが、立冬、つまり平年11月7日といえばこれからが紅葉の季節本番。ここで「残された秋」というのは、現実の季節感覚からは大きくかけ離れているように思います。
「残暑」というのも時候の挨拶上は立秋(8月7日頃)以後ですが、実際には暑さの盛りそのものの時期で、それなりに実感をもって「残暑」という感覚を持てるのは9月に入ってからというのと、事情が似ています。
「残秋」というのは、季節的には初冬にあたる12月前半、まだ色づいた木の葉も散りきらず、秋の名残があちこちで感じられるような時期に使った方が、実際の季節感を反映しているように思いました。
折からの気候変動で、そうした時期も年々遅くなっているはずです。
ということで、先の週末に京都で見つけた、秋の名残を。
まずは比叡山麓・八瀬のあたり。
葉を散らした樹々もちらほらですが、まだ秋色は残っています。
こちらはほとんど見頃に近いぐらいに残った紅葉。
北白川の志賀越道あたりで。
哲学の道沿いで。こちらはまだ見頃そのものという感じでした。
安楽寺の山門。
散り残しという雰囲気でしたが、秋がまだ残っていました。
山科・天智天皇陵参道入口。
ここの紅葉の見頃は例年遅く、12月後半まで見られます。
山科疏水まで足を伸ばして。
こんなふうに、まだ青もみじまで残っていたのも驚きでした。
紅葉は日当たりの良いところから色づき、また赤く染まりやすいとも言われるので、このあたりは日陰になりやすかったからでしょうが。
先の季節の兆しや、前の季節の名残を探していく。こういう風景撮影も面白いものでした。
もうしばらくは秋色が街のあちこちに残っていそうですが、撮影としては今年は先週末で撮り納めというところでしょう。
イチョウとメタセコイア~生きた化石コラボ~
月替りにちょうど合わせたかのように、12月に入ると冷え込みが厳しくなった今年ですが、物寂しい季節にこれから入っていく中、しばらくは華麗だった秋色を振り返っていこうと思います。
ということで、この一枚。11月中旬に、京都の北白川、大津まで出る「志賀越道」をちょっと進んだところで撮影したもの。イチョウとメタセコイアの秋色コラボです。
この2つの樹種には、共通点があります。どちらも裸子植物でありながら落葉樹で、このように秋には色づき、葉を散らすこともそうですが、それに加えて、いわゆる「生きた化石」であることです。
どちらも、かつては恐竜たちも見ていた樹。彼らが栄えた中生代にも生い茂っていました。といっても往年の繁茂にもかかわらず、私たち人類の時代には、中国の一部で細々と生き残っていただけです。それが人間の手で見いだされ、この日本も含めて、世界各地に植えられるようになって繁栄を取り戻したのでした。
こちらは八瀬でのモミジとのコラボ。黄色と赤とのコントラストが鮮やかです。
こちらは山科疏水での撮影。京都には有名寺社以外にも秋色の名所はたくさんありますが、ここはその一つです。
同じ場所で。人との関わりの歴史はイチョウの方が古く、中国で1000年ほど前に知られるようになり、諸説はあるものの14世紀頃に日本にも渡来したとされます。
今では街路樹や公園、学校の植樹などでもおなじみで、どこにでも見られる樹の一つとして知られているイチョウですが、国際自然保護連合(IUCN)には、なんと絶滅危惧種に指定されているということです。
これは原産地の中国にのみ残る野生種が、まさにそういう状態だから、とのこと。
こちらはまた、八瀬の里山から。こんなふうに山中にも自生するようになっていて、すっかり自然の風景の一部になっている感もあるので、「外来種」という感覚もなくなっているかもしれません。
メタセコイアも恐竜時代だった中生代白亜紀まで遡る歴史がありますが、人との関わりはごく近年。化石種として知られるようになってから、それが中国に細々と生き残っていることは戦後まもない時期に発見されたとのこと。それが世界中に植えられるようになって今に至ります。
こちらは琵琶湖畔のメタセコイア並木。
かつて私の通った小学校でも、体育館前にメタセコイアの大樹が何本も植えられていたことを思い出します。
こちらはまた八瀬の九頭龍神社の裏山。モミジや他の落葉樹の秋色ともすっかり溶け込んでいます。
こちらは比叡山腹。こんな山中に人がわざわざ植えたとも考えられないので、たぶん鳥に種子が運ばれた結果として自生したのでしょう。イチョウも見えます。
億年の歴史を持つ樹々をこうして眺め、ある意味では恐竜たちと体験を共有するのも、ちょっと不思議な気分です。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました
彩りの秋~京都・八瀬もみじの小径より~
今日は11月30日。
明日には急激に冷え込む予報が出ていて、名実ともに秋の末日となりそうです。
この秋に出会えた彩りの数々はこれから改めて振り返っていきたいところですが、まずは前回の記事でも取り上げた、京都郊外は比叡山麓・八瀬の「もみじの小径」。
ここはその名の通りたくさんのモミジが見られますが、それだけでなく、樹種豊富な里山の林らしく、バラエティ溢れる秋の彩りの競演が見られるのが何よりもの魅力。
「小径」に沿って歩くより、道路側から眺めて、比叡山腹に広がる雑木林を見渡していろんな秋色を楽しむ方が、ここの魅力はもっと堪能できるように思います。
晩秋には紅葉狩りの観光客でかなりの賑わいを見せる場所ですが、そんなふうに眺める人をあまり見かけないのは、ちょっと勿体ない気もするぐらいです。
私にとっては比較的近場なので、この秋は休みのたびに足を運んで、ここの秋色の変化をウォッチしてきました。ここでみなさまと分かち合いましょう。
ここのモミジの色づきはわりと早めです。
10月末に行った時にも、もう紅く色づき始めを見せています。
数日後の文化の日。
だんだんモミジの赤も深くなり、もう見頃といっていいぐらいのものも見られます。
これにヤマザクラの紅葉がコンチェルトが加わり、背景の常緑樹とともに秋色のコンチェルトを奏でます。
その週末。だんだん他の樹種も秋色に染まり始め、カラフルさが増してきます。
こちらは山のだいぶ高所を望遠撮影したもの。広がる杉の常緑樹林をバックに、山中にも多彩な秋色が競演します。
この辺りはモミジの色づき方も一本一本違い、いったい何色あるのかと思えるほどカラフルなのも見所です。
次の週末、11月半ば。見頃はこの後もしばらく続きますが、一番ヴィヴィッドだったのはこの時期でしょうか。街中の寺社の紅葉と比べてもやや早めです。
黄色く色づいた落葉樹(クヌギだと思います)が彩りを添え、モミジの赤とベストマッチ。
モミジもいかにもという赤から紫がかったもの、真紅ともいうような深い色合い、橙寄り、青みを残したものまで、ただ「紅葉」と呼ぶのでは尽くせないような豊かな色調が、ここに集まっています。やはり最大の色彩の魔術師は、自然そのものです。
こちらはモミジがいちばん生い茂るところ。
モミジの背景で、他の落葉樹たちも秋色に燃え始めています。
この辺りは順光で撮れるのは正午を過ぎたあたりで、これまでの写真はみんなその時間帯での撮影でしたが、昼前の斜光ぎみの光のもとで撮るとこんな感じ。
よりコントラストも際立っているようです。
11月後半にも見頃は続きますが、それはまたの機会として、ここまで、鮮やかな秋色をお楽しみいただけたでしょうか。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
新緑が美しい場所は紅葉も美しい
紅葉撮影は毎年秋の最大の楽しみといっていいのですが、単に「紅葉の季節になったから撮る」だけだった頃と比べても、ここ何年かで私の撮影テーマも大体固まってきました。
それは「秋を彩り豊かに撮る」ことです。モミジの赤ばかりでなく、いろんな樹種の、黄色や橙の、それぞれの色づきを合わせて撮る、ということです。
京都にいれば寺社で「紅葉の名所」はたくさんありますが、そういうスポットだとモミジ一色になりやすい。むしろ京都を囲む里山の雑木林こそが、「カラフルな秋」を撮るには一番のスポットということになります。
そしてここ数年メインフィールドとなっているのが、京都郊外・比叡山麓の八瀬。紅葉の名所として近年名高くなっている瑠璃光院は予約を入れないと拝観できないほどになっており、この季節は観光客で賑わいます。けれども、私からするとこのスポットの魅力はむしろ道路から見た比叡山腹。モミジに加えて多種多様な木々が茂り、彩り豊かな秋が見られるのです。
地図では、こちら。
「もみじの小径」で示した地図ですが、小径に入って歩くよりも、道路側から山腹を眺めた方が華麗な秋色は堪能できると思います。
近場ということもあって、今年も休みのたびに足を運んで、彩りの移り行きを追ってみました。
まず10月末。この辺りのモミジの色づきはやや早めなので、11月を待たずして、もう色づき始めています。
手前にあるのはヤマザクラ。撮影のアングルを定める目印にもしています。
こちらは11月3日、文化の日に。
モミジの一本一本の樹で色づき方も違い、彩りの豊かさを増しています。
その週末、11月6日。1週間で青々としていた樹もすっかり「秋」を感じさせるほどの色づきを見せています。
その翌週。これぞ秋という華麗さ。モミジの背後の樹々も黄色、山吹色、橙と色づいてコントラストが美しい。
先週末が、見頃のピークだったと思います。他のスポットと比べても見頃はやや早い。
ご覧のように、情熱的なまでに秋色が燃えています。背景の秋色もいよいよ深まり、あとは葉を散らしていくでしょう。
このアングル以外でもいろいろと秋の彩りを撮りましたが、それはまたの機会に。
「彩り豊かに撮る」のは、秋色だけでなく、春色も同じ。新緑に山桜や春紅葉を合わせ、春もまたカラフルに撮れる場所が、ここです。
こちらは新緑芽吹いて間もない今年の春先。
まだ淡い緑に、山桜や春紅葉が、やわらかな彩りを添えます。左下にある山桜が、上の秋色写真にあるものと同じです。
これがさらに緑を深めて。手前の山桜で、秋色とだいたい同じアングルで撮っていることもおわかりかと思います。
4月も末になると、まだ新緑らしい瑞々しさは残しつつ、すっかり緑一色の光景となります。新緑の見ごろもこれぐらいまで。
前の記事でも強調したことですが、新緑のベストな時期は4月中。5月では遅すぎます。
そんなわけで、春色撮影スポットは同時に秋色撮影スポット。新緑が美しい場所は黄葉も美しい、ということです。
考えてみれば当然で、新緑と紅葉は表裏一体の現象。落葉樹だからこそ見られるものです。秋に葉を色づかせ、散らした樹々が、翌春には改めて葉を芽吹かせる。その繰り返しにほかならないからです。
そんなわけで、紅葉を、秋色を美しく見ることができた場所は、翌春、新緑を求めてもきっと美しいものが見られるに違いない。これを知っておくと、「自分だけの撮影スポット」を見つける上でも、助けになると思います。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
ケヤキの秋色の魅力
紅葉するのは、モミジだけではない。
秋にはいろいろな落葉樹がそれぞれの色づきを見せ、最も物寂しい季節である冬を前に、最も鮮やかな色どりを見せてくれます。
この秋の私の撮影テーマも、いろいろな樹の紅葉・黄葉を撮ること。
これまでの記事でも桜紅葉、蔦紅葉というものを取り上げてきましたが、今回の注目はケヤキ。
野山にも自生しますが、街路樹や公園の植樹としても馴染み深い樹木です。
身近すぎて逆に気がつかないこともありますが、このケヤキの秋色も実に美しい。
こちらは京都府立植物園西、鴨川沿いに植えられたケヤキ並木の紅葉。モミジに劣らないほどの真っ赤な色づきが青空に映えます。今月上旬の撮影です。
反対側の鴨川西岸にもたくさんのケヤキが植えられ、エノキの黄葉とのコントラストが美しく秋を彩ってくれます。
街路樹と違ってちゃんとした土の地面に植えられているだけに、どれも大樹に育っています。
ケヤキの秋色の魅力は、色づき方に個体差があること。そのためケヤキ並木が続いていても、同じ種類の樹木とは思えないほど多彩な秋色を楽しむことができます。
上は宝ヶ池公園での撮影ですが、同じケヤキが並んでいても、赤、黄、橙とそれぞれ違い、カラフルです。
これは遺伝子レベルでの違いで、それぞれの樹で何色に染まるかは決まっているということです。
こちらは八瀬の里山。奥のほうにある赤と黄色のコントラストが美しい。
逆のアングルからの撮影。
こちらは先の鴨川沿いのケヤキ並木をしたから見上げて撮ったもの。
こちらは鴨川もかなり上流に植えられたもの。
一樹種だけでも多彩な秋色を堪能できる。それを意識してみると、何気ない街路樹や公園の樹木でも、見方が変わってきそうです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。