二重虹と夕焼けと
昨日のことですが、私の住む京都では、鮮烈な虹が見られました。
ご覧の通り、きれいにアーチを描いています。しかも、全体にわたって鮮明です。
脚の部分しかくっきり見えなかったりする虹もしばしばだけに、ここまで鮮やかな虹も珍しい気がします。
もともと一日曇りだったこの日、だからこその「一発逆転の夕焼け」に期待して、桂川の近くまで足を運んでいました。夕焼けまで比較的近くの喫茶店で過ごして、もし焼けそうであれば川沿いまで出るという心づもりでした。
けれども西の空が明るくなりそうな気配はなく、この日は期待外れかと思い引き上げようとしましたが、そんな折にひと雨降りだしました。予報では降水確率は20%、傘も持っていなかったので、止むまで今しばらく店内で過ごすと、雨の上がり際、日が射してきた頃にこんな光景となったわけです。
しかも、よく見ると二重虹です。
これではっきりわかると思います。
二重虹では、外側の虹(副虹)は内側の虹(主虹)とは色の並びが逆になります。
惜しむらくは、もっといい場所で撮りたかった、ということです。住宅街のただなかでもそれなりに絵になったと思いますが、この時桂川まで出ていれば……と後悔したのも確かです。
虹というのは儚さの象徴でもあり、すぐに色褪せ、薄れて消えてしまうものですから、いい場所に移動して撮ろうというわけにもいきません。
場所をやや移して、大通り沿いから撮ってみるぐらいでした。
虹というのは夕焼け以上に、狙って撮ることが難しい自然現象。
ただ、自然の営みに任せるしかありません。ともかくもカメラに収めることができただけでもよしとしましょう。
桂川沿いまで出た時には、もう虹は全体では見えなくなっていて、わずかにこれぐらいが残っている程度でした。
一雨降ってくれたおかげで西の空に晴れ間が見え、夕焼けも現れました。
低層の雲だったので先週のあの夕焼け祭りほど燃えるようには焼けませんでしたが、それでもなかなかの光景です。
この一雨のおかげで、もしかしたら今日は雫が撮れるのか、と期待していつもの森に足を運んでみましたが、午前中はほとんど日が射さず。また射しても、もう秋のこの時期には、夏の間撮っていた樹には日が当たらなくなっていました。山腹の南側にあるので、太陽が低いと隠れてしまうのです。
過去の撮影で秋分の日には撮れたこともあるのでまだいけるのかなと期待しましたが、秋分から数日過ぎるだけでもダメなようです。
11月に入り、別の樹に光がい感じで当たるようになるまでは、こちらの森でも雫撮影は難しそうです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
比較、春と夏の海と空~すさみ-日置より~
前回の記事でとりあげた、夏の白浜町日置の志原海岸。季節を違えて同じ場所を訪れてみると、その表情の違いを比べてみたくなります。ということで今回は季節比較企画です。周参見駅を出発して志原海岸までの、だいたい同じ場所で撮った早春の3月と真夏の8月の写真を並べてみます。違いを見比べてみてくください。
地図はこちら。
このサイズだと地名があまり表示されていませんが、所々を拡大してみると出てきます。
ということで、まず駅から出てオン崎を越えたところにある湾。
まず早春。
こちらが真夏。比べてみても、まず何より画面の「光度」「明るさ」がかなり違うことがお判りでしょう。そして、海も夏のほうがよりエメラルド色寄りです。
すさみ町と白浜町の境界にある潮来橋から、小石の鼻という名の岬を望む。
こうしてみると、晴れた日のほぼ真昼時に撮っても、空の青さも画面の明るさも、季節でずいぶん違うものです。夏は燦燦たる日差しで、岬もくっきり浮き出ています。
さらに進んで、安宅崎へ。この辺りはリアス海岸で次々と岬が現れるのでどこを撮っても絵になります。
まず早春。時期からして植物はまだ冬枯れのままです。でも海の色はすでに早春らしい明るさが感じられます。
真夏には手前の植物も青々と茂っています。岬の樹々は基本的に常緑樹ですが、それでも緑の濃さは、夏の方がいちだんと濃いようです。
角度を変えて。早春はまだ昼間でも太陽がそこまで高くなっていないので、真昼でも方向によってはこんなふうに逆光になりやすいところです。
夏の昼間は太陽が高いので、基本的にどの方向にカメラを向けても逆光になりにくい。
また別角度から、これはその前に12月に撮影したもの。
気温で見れば寒さはまだまだこれからの季節ですが、「光度」で見た場合は冬至のあたりで、昼間でも一年で最も暗い季節です。海の色も、青くはあっても明るさがありません。
それに比べれば、早春の3月はずいぶん明るくなっていますね。海の色もずっと明るいマリンブルーになっています。
夏はやっぱり空の青さも海のエメラルドも鮮烈ですね。
こちらは日置川河口付近。
夏。中洲の緑の違いが際立ちますが、背後の山は基本的に常緑樹林なので年中緑に覆われていますが、それでも夏の方が緑の鮮やかさがあります。
道の駅・志原海岸から鳥毛洞窟へ向かう道より。
昼間でも、早春と夏とではこれだけ明るさも違うことがおわかりでしょう。
鳥毛洞窟から海を臨む定番のショット。
最後に大崎方面を望んでの撮影から。こちらは12月に撮ったものもありましたので、冬、春、夏と並べてみます。
同じ場所で撮るからこその季節の表情の妙、楽しんでいただけたでしょうか。
季節は秋分の日を過ぎていよいよ秋本番に入り、夏にはあれだけ強烈だった日差しも、日に日に和らいで、そして弱まっていきます。
日の短い季節が苦手な私にとっては、それだけでもちょっと憂鬱な気分にさいなまれますが、季節の移ろいとして、その時節ごとの表情を楽しんでいこうと思います。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
温度の季節と光の季節~秋分を過ぎて~
今日は9月23日。例年なら秋分の日にあたりますが、今年の秋分は昨日だったので、平日になりました。
秋分の日と春分の日は、ともに昼夜の長さがほぼ同じ日。日の出入りもほぼ真東、真西になる日です。「温度の季節」で見た場合は大きく違いますが、「光の季節」としてはほぼ同じになります。
風景写真を撮っていると、季節にはいよいよ敏感になります。
桜や深緑、田植えや紫陽花、コスモスや芒や紅葉、雪など、その季節ならではのものが楽しみになりますから、当然です。
年ごとの写真を比べることで、例年ここの新緑の見頃は4月20日ぐらいなのに、今年は15日にもう見頃になっている……という具合に、日刻みで季節の移り行きを感じられることもあります。
そしてもうひとつ敏感になるのは、「温度の季節」と「光の季節」の違いです。
一年を四季に分ける場合、「温度の季節」によるなら、いちばん温度の低い時期を冬、高い時期を夏として、その中間を春、秋とします。気象学上の春夏秋冬もこれに従っていて、現代の私たちにとっては、もちろんこの分け方のほうがなじみ深いでしょう。暮らしも基本的にこの「温度の季節」をもとに運んでいます。
それに対して、「日の長さ」を基準に、いちばん短い時期を冬、長い時期を夏として、その中間を春、秋とするのが「光の季節」です。そうなると冬の中心は冬至、夏の中心は夏至で、春分・秋分が春と秋の中心ということになります。今でも使われている二十四節気は、この「光の季節」によったものです。
地表が暖められ、気温に反映されるのにはいくらか時間がかかりますから、「温度の季節」とは1か月半ほどのずれが生じます。一年で最も寒い2月のはじめが立春、最も暑い8月のはじめが立秋とされるのは、温度の季節に慣れていると実感がわかない人も多いようですが、これは「光の季節」を基準にしたものだからです。
でも自然写真を撮っていると、こちらの「光の季節」にも敏感になってきます。
たとえば夕景撮影をしていれば、太陽の沈む方角を把握しておくのは大事です。これは「光の季節」をもとにする必要がありますから、真西に狙いを定めるのは、気温ではまったく違う春分・秋分の時期という具合です。
また画面の明るさも、温度よりも光の季節によります。
こちらは12月、3月、8月に、すさみ町見老津・立浦でほぼ同じ画角で撮ったもの。
夏の分は本当は光の季節ではピークである6月のものを載せたかったのですが、「明るさ」の違いは歴然だと思います。
昼間でも最も暗くなるのは、寒さならまだこれからだという冬至のあたり。それに比べれば2月に入ると、寒さはかなり厳しいのに、晴れた日なら陽射しはずいぶん明るくなっています。2月下旬で明るさは10月半ばとほぼ同じというのは、この二つの時期の温度差を考えると意外なところです。
5月の連休の頃は陽射しの明るさで言うなら真夏の8月上旬とほぼ等しい。
まあある程度の日の高さがあればあまり光度の違いは感じられないので、8月末ぐらいまでは「明るさが落ちた」とは実感しないことが多いですが。
そして雫撮影では、「どんな角度から日が射すか」が大事。いつもの森で、この木にこの時間帯に日が当たるのはいつぐらいの季節かを考えて撮影場所を選びます。そうすると、例えば「9月上旬にいい角度で日が射したこの樹では、来年の4月上旬にはまた同じように撮れるはず」「5月下旬にいい感じで撮れたこの場所には、今度は7月下旬にまた来よう」という具合になります。「光の季節」であれば、それぞれ同じ条件になるからです。冬至や夏至、春分や秋分からの日数を数えて判断します。
上が4月、下が9月で、同じ樹に射した光です。
二つの季節それぞれに敏感になって、その違いを感じてみるのも楽しいものです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
秋の夕焼け祭り 京都・桂川より
昨日の記事で、ひとまずその瞬間をみなさんにもお分けした桂川の夕焼け。
どうやら昨日は全国的に「夕焼け祭り」だったようで、私の住む京都ばかりでなく、各地で空全体が燃え上がるような、華麗にして壮大な夕焼けが見られたようです。
Yahoo ニュースでも取り上げられ、ツイッターのトレンドにも「夕焼け」が登場していました。
昨日はほとんど報告のみだったので、改めて、この日の夕景を振り返ってみたいと思います。
もともと、桂川での夕景は前々から撮ってみたいところでした。都会で夕焼けを撮るなら川辺で!とは以前の記事でも触れました。
京都だとまず鴨川ですが、桂川も絶好の夕景スポットであることは間違いありません。
好評をいただいておりますこちらの記事
にも桂川を増補したかったのですが、これまで私自身が撮れたいい写真がまだありません。そういう意味でも今年の、夕焼けの季節が終わらないうちに一度は撮りたかったのです。
仕事帰り、あるいは自宅からの散歩がてらに行ける鴨川や宝ヶ池公園であれば、その日の空模様を見て撮影に行くかどうかを決めることができます。でも桂川は私の家からは遠く、最初から予定を立てて行くしかありません。帰りも遅くなってしまうので、日の長い夏の間は避け、日没の早い秋になってから行くことに決めていました。時間帯的に休日しか無理なので、この連休に計画していました。
実は土曜日にも近くまで行っていたのですが、この日は京都の夕方は時々晴れの予報はあったものの、結局は完全な曇り。空振りに終わってしまいました。
そのリベンジとばかり昨日も別用も兼ねて近くまで行って、空模様をうかがっていました。午前中は青空が広がっていたものの午後は雲に覆われ、土曜日の二の舞かと思いました。でも、5時半ぐらいになって西の空を見やると、地平線近くでは雲が切れ、日が射しています。
これはもしかすると夕焼けが見られるかもしれないと期待し、桂川の河畔、西大橋付近まで足を運ぶことに決めます。
着いたのが5時45分ごろ。6-7月なら日暮れは7時過ぎでしたからずいぶん日も短くなったものですが、この様子。
ご覧の通り、曇っていながら、日没方向の雲は切れています。
50分ぐらいになって、山の端から光が射すのが見えてきたら、これは焼けると確信できます。
こちらの記事でも触れたとおり。
ここまできたら、もう「なんか行ける気がする」というよりは「勝利の法則は決まった!」と言えます。
こちらの記事でも語った、ネタです。
だんだん空が染まってきました。
下流に向けても。
河原から土手にカメラを向けて、東の空も。
でもこれはまだ序章です。
さあ、ショータイムです。
橋の上から。北側に向けてもこんなに焼けた空が撮れるのは、まだ夏らしさが残っている証でしょう。
場所を移して南西の方向に撮ると、こんなに壮大に。本当に空一面が燃え立つような夕焼けでした。
いよいよ赤さを増して。
ピンクモーメントに入ります。
赤さを深めて。
改めて橋の上から。川面も真っ赤です。
最後まで見届けましょう。
最後まで赤さが鮮やかな部分を望遠で。
川のほとりが夕焼け撮影に絶好なのは、水面への映り込みがあるのに加えて、川の上の空が開けているからです。桂川は鴨川よりずっと川幅が広いので、「空の広さ」はさらに感じられます。
この日のような空一面に夕焼けを撮るには、京都では桂川は最良のスポットかもしれません。
ということでこれを受けて、「ガイドブックではわからない京都の夕日・夕焼けスポット」記事も桂川を増補しようと思います。あらためてご覧ください。
実は今日も近くの宝ヶ池公園でこんな素敵な夕焼けが撮れました。昨日があれだけ凄かったので、どうしても「祭りの後」感は否めませんが。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
華麗なるひととき~京都・桂川の夕焼け~
とんでもない夕焼けでした。
ご覧になっていない方々のためにも、何よりまず、写真を通して分かち合いたいと思います。
京都・桂川からです。
この日の夕焼け模様は、日を改めてゆっくりと語りたいと思います。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
南紀白浜・志原海岸~鳥毛洞窟から千畳敷へ~
南紀の隠れた絶景スポットとして、こちらでも2度取り上げた白浜町日置の志原海岸・鳥毛洞窟。
この時は冬、12月に。
この時は早春の3月に訪れています。
地図はこちらです。
夏に訪れてみればこれまた違った表情が見られるだろうということで、その折の撮影から。このときは洞窟だけでなく、その先にある大崎・志原海岸千畳敷まで足を延ばして撮影するのが目的でした。
前の記事でも書きましたがこのスポットは満潮時には磯辺が水没してしまい、洞窟の中まで海水が入るので渡ることができません。潮位を事前に調べたうえで行くのが鉄則ですが、過去の訪問ではこれから潮が満ちてこようという時間帯だったので長居はできず、洞窟より少し先まで進んだぐらいで引き上げる必要がありました。
このときには潮位については余裕のあるスケジュールだったので、地図上の大崎の向こう側まで撮影することが狙いでした。
ということで、道の駅から海岸沿いのコースを辿って、海を望みます。
さすがに真夏、エメラルドグリーンを含んだ海の青です。
そしてここから海岸に降ります。
ここは岩場がなだらかなので歩きやすいです。
そして鳥毛洞窟、定番の洞窟の中から海を望むショットです。空も海も色合いが夏らしい。
岸壁を見ると、こんなふうに窪みがいくつもできています。この辺りも波によって浸食されていて、できかけの海食洞なのでしょう。
この入り江を回り込んで。
千畳敷のある大崎へ。夏も真昼近く、光度が強烈です。
長らく地殻変動の影響がなかったためか、水平に重なった地層がこのあたりの崖の特徴です。
このあたりにもできかけの海食洞が。そして夏の順光の青空はとにかく色が濃い。
進んだ先には、まるで岩の砦のような風景が現れました。
岬の先端まで来て、海を望みます。
この辺りが千畳敷。ここまで歩いてきた岩場は泥岩質だったようですが、こちらは白浜の千畳敷と同じく砂岩質のようです。
岬の向こう側の入り江も見渡します。ここはリアス海岸、岬を越えれば入り江という地形が続いています。
夏らしいこのエメラルドグリーンが、今回の撮影の最大の成果でした。
広がる海原を見渡す方向で。海も夏の浅瀬は緑がかっていますが、深くなると青々とした色になります。
すさみ方面。いくらか逆光気味ですが、夏の真昼は太陽が高いのであからさまな逆光にはならないところです。
ということで、志原海岸の千畳敷まで深く足を延ばしたのは今回が初めて。
真夏の青空のもとでの撮影ということで、風景は素晴らしかったものの暑さとの戦い。何も陽射しを遮るものがない平らな岩場での撮影でしたから、別の意味で長居は無理でした。あの入江の向こう側にまで渡りたい気もありましたが、ここで撤収です。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
2020年夏の夕焼け まとめ 8月編
ようやく初秋といえる季節に。
私の住む京都では今朝の最低気温が10度台まで下がり、肌寒さも感じるほどでした。ついこの間まで猛暑の日が続いていたことを思うと、季節の変化も急です。思い起こせばあの長梅雨も、じめじめした日が続く最中には一日も早く明けることを待ち望んでいながら、明けたところでどうせ冷夏だろうと思いきや、一転して連日太陽の照りつける炎暑の日々になろうとは予想もしなかったところです。
ということで、今回も夏の夕焼けを総集します。
今回は8月編。梅雨が明けてからというものの、ほとんど雨らしい雨が降らない夏空の日々が京都でも続きましたから、夕焼けもたびたび見られました。
宝ヶ池公園で。雲も夏らしい赤さに染まっています。
大阪・天満橋で。今年のこの付近での仕事は最後の日でした。
鴨川・北大路橋で南向きに。全方位の空が染まるのは夏の夕焼けの魅力です。
同じく北大路橋で、こちらは北向き。残照が美しい夕景でした。
鴨川・荒神橋付近から。
御池通で、街中で望む夕焼け。
そして8月末に印象深かった、東の空が燃える夕景。比叡山上空の雲が鮮烈でした。
翌日も、全方位の空が華麗に染まりました。
ここに集めたのは特に美しかった夕焼けで、他にも夕焼けが見られた日は何度もありました。
頻度で見ても美しさで見ても、夕焼けのベストシーズンは夏。それも真夏だということも、おわかりではないかと思います。
9月に入ってもまだまだ夕焼けの季節は続きますが、これは「秋になったから」というよりは「まだ夏に近いから」という方が正しいのであって、見頃はせいぜい10月上旬ぐらいまででしょう。
私の感覚では、夕焼けの季節は終わりに近づきつつあります。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。