光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

温度の季節と光の季節~秋分を過ぎて~

 今日は9月23日。例年なら秋分の日にあたりますが、今年の秋分は昨日だったので、平日になりました。

 秋分の日と春分の日は、ともに昼夜の長さがほぼ同じ日。日の出入りもほぼ真東、真西になる日です。「温度の季節」で見た場合は大きく違いますが、「光の季節」としてはほぼ同じになります。

 風景写真を撮っていると、季節にはいよいよ敏感になります。

 桜や深緑、田植えや紫陽花、コスモスや芒や紅葉、雪など、その季節ならではのものが楽しみになりますから、当然です。

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 年ごとの写真を比べることで、例年ここの新緑の見頃は4月20日ぐらいなのに、今年は15日にもう見頃になっている……という具合に、日刻みで季節の移り行きを感じられることもあります。

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2017年4月23日

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2018年4月19日


 そしてもうひとつ敏感になるのは、「温度の季節」と「光の季節」の違いです。

 一年を四季に分ける場合、「温度の季節」によるなら、いちばん温度の低い時期を冬、高い時期を夏として、その中間を春、秋とします。気象学上の春夏秋冬もこれに従っていて、現代の私たちにとっては、もちろんこの分け方のほうがなじみ深いでしょう。暮らしも基本的にこの「温度の季節」をもとに運んでいます。

 それに対して、「日の長さ」を基準に、いちばん短い時期を冬、長い時期を夏として、その中間を春、秋とするのが「光の季節」です。そうなると冬の中心は冬至、夏の中心は夏至で、春分秋分が春と秋の中心ということになります。今でも使われている二十四節気は、この「光の季節」によったものです。

 地表が暖められ、気温に反映されるのにはいくらか時間がかかりますから、「温度の季節」とは1か月半ほどのずれが生じます。一年で最も寒い2月のはじめが立春、最も暑い8月のはじめが立秋とされるのは、温度の季節に慣れていると実感がわかない人も多いようですが、これは「光の季節」を基準にしたものだからです。

 でも自然写真を撮っていると、こちらの「光の季節」にも敏感になってきます。

 たとえば夕景撮影をしていれば、太陽の沈む方角を把握しておくのは大事です。これは「光の季節」をもとにする必要がありますから、真西に狙いを定めるのは、気温ではまったく違う春分秋分の時期という具合です。

 

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ほぼ真西に沈む春分の日直後の太陽。京都・岡崎疎水にて

 また画面の明るさも、温度よりも光の季節によります。

  こちらは12月、3月、8月に、すさみ町見老津・立浦でほぼ同じ画角で撮ったもの。

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 夏の分は本当は光の季節ではピークである6月のものを載せたかったのですが、「明るさ」の違いは歴然だと思います。

  昼間でも最も暗くなるのは、寒さならまだこれからだという冬至のあたり。それに比べれば2月に入ると、寒さはかなり厳しいのに、晴れた日なら陽射しはずいぶん明るくなっています。2月下旬で明るさは10月半ばとほぼ同じというのは、この二つの時期の温度差を考えると意外なところです。

 5月の連休の頃は陽射しの明るさで言うなら真夏の8月上旬とほぼ等しい。

 まあある程度の日の高さがあればあまり光度の違いは感じられないので、8月末ぐらいまでは「明るさが落ちた」とは実感しないことが多いですが。

 そして雫撮影では、「どんな角度から日が射すか」が大事。いつもの森で、この木にこの時間帯に日が当たるのはいつぐらいの季節かを考えて撮影場所を選びます。そうすると、例えば「9月上旬にいい角度で日が射したこの樹では、来年の4月上旬にはまた同じように撮れるはず」「5月下旬にいい感じで撮れたこの場所には、今度は7月下旬にまた来よう」という具合になります。「光の季節」であれば、それぞれ同じ条件になるからです。冬至夏至春分秋分からの日数を数えて判断します。

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 上が4月、下が9月で、同じ樹に射した光です。

 二つの季節それぞれに敏感になって、その違いを感じてみるのも楽しいものです。

 ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。