大文字山への思い
今日8月16日は、京都では五山の送り火の日。台風の影響による荒天も過ぎて、無事に行われそうです。ということで久々に私の住む京都の話題で、大文字山のことを語りましょう。
京都は、南を除く三方を山に囲まれた都市。街と山の距離はほど近く、さしたる遠出をしなくても野山に入れる。市街地を流れる鴨川が水鳥をはじめ生き物の宝庫であることも合わせて、日本の大都市のなかでは、ずいぶん自然との触れ合いに恵まれていると感じるところです。私が育ったのが名古屋南部の工業地帯で、とても自然など感じられない場所にありましたから余計にそれを感じるのかもしれません。昔、大学進学とともに京都に来てから、街中でもウグイスが聞こえただけでも驚いたぐらいですから(最初は飼い鳥かと思ったほど)。
さて、その京都の街を囲む山々でも、大文字山はやはり特別です。送り火の日は言うに及ばず、この日でなくても、火床の「大」の部分は街中からもはっきり見え、ひとつのランドマークとなっています。
とりわけ夕暮れ時、西日に照らされた夕映えの大文字山は美しい。
そして、街中からでも気軽に登れます。火床までなら、普通の足で登っても1時間とかからないでしょう(山頂まで到達するのにはあと20~30分ほどかかります)。火床から一望する京の街はまさしく絶景です。
ちなみに天気が良く空気が澄んでいるときには、はるか遠く、大阪・梅田のスカイビルまで見えることがあります。
ということで、まずはここからの眺めを紹介。何年か前の5月の連休に、早朝に登って撮影したものです。
こちらは北西方向。
こちらは正面、真西の方向。京の街にはいくつも緑地が点在していることが見てとれます。
こちらは南西方向です。
大文字山は学生時代から親しんでいて、一人で、あるいは仲間たちと何度も登ったものでした。他所から京都に来た友人を案内するうえでもよく誘いました。
下宿にも近かったので、春から初秋までなら、平日でもサークルもアルバイトもない日、放課後に登ったこともたびたびでした。
いろんなコースも試したことがあります。もちろん定番は銀閣寺近くからのコースです。ほかにも鹿ケ谷ルート。そのまま火床までたどり着くショートコースと、この道路を奥まで進んで山に入り、大回りして山頂まで行ってから火床に出るロングコースとがあります。
火床から山頂まで登ったあと、そのまま引き返せばいいものを、その先にどんなコースがあるかとつい「探検」したくなって進んだものの、時すでに夕暮れ。暗くなる前に下山できなければどうしよう……と焦りつつとにかく進んで、下りたのが南禅寺の境内。ここまで繋がっていたのか、と新たな発見に驚いたこともあります。
山頂からは比叡平や、ひいては琵琶湖側に出ることもでき、三井寺までたどり着きます(3時間は歩きました)。
ちなみに友人の友人で、まさに三井寺まで歩いて出たものの、気がつけば間抜けにも1円も持っておらず、もはや夕方でそのまま引き返す時間も体力もない。そこで最後の手段、タクシーで下宿まで行くという、学生の身には相当な出費になる方法を使ったとのことです。駅で連絡先を教えた上でお金を借りる方法もあったのにね。
この記事を書くための情報集めとして「大文字山」でググろうとしたら関連語句に「遭難」と出てきて、最初は冗談かと思いましたがそれなりの件数で本当に起こっている模様でした。正規のコースを外れでもするといかに低い山でも危険はないとは言えません。この記事を読んで大文字に登ってみようという方も、くれぐれも起きをつけてくださいね。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
紀勢本線・和深駅から望む枯木灘
このたびの南紀への旅から続けて。
時系列順に書かず、スポットごとに紹介していっているのですが、途中通過した海駅・和深でも会心のものが撮れましたので、今回はこちらを特集します。
和深駅については、以前の記事でも語りました。
この日のスケジュールは、早朝に見老津駅周辺ですさみの撮影から始めて、その後に串本まで向かい、潮岬で撮影してすさみに戻り、それから帰途につくというものでした。
ということで、串本に向かう電車より。早朝にすさみでかなり撮っていたとはいえ、この時はまだ7時半過ぎ。まだまだ朝の海らしい風景です。
通過する束の間のチャンスを車窓から狙うしかない、と構えての撮影で、これだけでも十分満足のゆくショットでしたが、有難いことに通過列車の待ち合わせで、3分間だけ停車してくれました。
このチャンスを逃す手はありえず、当然のようにホームに出ます。ホームが海と反対側ということで、電車まで収めて撮るとこんな感じです。
ホームまで入れるとこう。いかにも海駅らしさが出ていると思います。私は別に鉄道写真には興味は無いのですが、その方面のマニアが撮ったような感じになったかもしれません。
海と反対側のホームということで間に電線が遮っています。海側のホームに渡りたかったのですが、前の記事で触れたようにこの和深駅は跨線橋が撤去されていて、いったん道路に出て100mほど行かなければ向こうのホームには行けません。
たった3分の停車時間では往復する時間などなく、海そのものの写真はもっぱらズームで切り取って電線を避けるまででした。
こちらはホームに設けられた映画『たまご』のモニュメントです。
予定変更してここで降りてしまいたい衝動に駆られるぐらいこの日の和深の海は美しかったのですが、3分が過ぎ、結局電車に戻りました。
これから訪れる台風では私の愛する南紀も大変なことになりそうで気がかりです。ただ無事であることを祈るばかりです。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。
すさみより~穏やかな海と荒れた海~
先の記事で語ってきたすさみの風景は、8月の最初の週末に旅したときのことです。
でもその翌週末も、どうしても撮影に行きたくなってまた足を運んでしまいました。
荒れた海を撮る、絶好の機会と見たからです。台風がゆっくりと接近して海も荒れ模様になりながら、天気はまだ崩れない。そんな海でこそ撮ってみたいのです。
ということで、日帰りで撮影の旅を強行です。
見老津駅前では、ご覧の通りの荒れ模様でした。
この日の波の高さは予報では3mでしたが、手前の高さ3mはあろうという巨岩を超えそうな勢いです。
空が少し曇りがちだったのが気になりましたが、しだいに快晴に近くなってきました。コンディションは整います。
この激しさです。
ご覧の通り、荒れ気味の海のほうが、色鮮やかです。この独特の色あいに私は魅せられたのです。
立浦の岩の尖塔。
高さ10mはあろうという巨岩なのに、その真ん中を超えるところまで波がかかっているところに、この日の海の荒れ模様が分かろうというものです。
この岩棚は海面から3-4mはあるのに、それを優に越す荒波が打ち寄せています。
ここで、前週に訪れた時と、この時と、同じ場所での写真を比較してみましょう。
こちらは、上の岩棚を国道から見下ろして撮ったものです。
荒れるとこうなります。
こちらは恋人岬の婦夫波。
荒れると婦夫波もほとんど夫婦喧嘩です。
そして、海の色の違いにも注目してください。荒れている時の方が、色は鮮やかなのです。
こんなふうに、「荒れた海の美しさ」に魅了されて時々撮影に行っていますが、当然のことながら安全は最優先。確実に安全といえる海辺から離れた場所、高所からの撮影に徹しています。
今の季節はどうしても海難事故の悲しいニュースがたびたび報じられます。特に台風接近で海が荒れている時は危険です。
遊泳やマリンスポーツのように海に入るわけでなく、また磯釣りのように海辺まで出るわけでもない写真撮影でも、シャッターチャンスとばかりに不用意に近づけば、取り返しのつかない事態を招きかねません。
荒れた海の美しさは本当に魅力的ですが、当記事を読んで撮影にチャレンジしてみようと思い立った方がおられたら、くれぐれも海辺には近づきすぎず、波が絶対に届かない安全な場所(可能な限り高所)からの撮影に徹してください。「一発大波」といって、通常の倍以上の高さの波が押し寄せることもあるので、念には念を入れることに越したことはありません。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。
360° 全方位の夕焼け~京都・宝ヶ池公園より~
今朝投稿したばかりですが、これはもう一つの記事を投稿せずにはおれなくなりました。ということで初の1日複数回投稿です。
今日の夕方の空模様を見れば、「この空は確実に焼ける」とは読めました。
以前の記事で紹介した、全ての条件を満たしていたからです。
しかも、これは単に焼けるだけでない。夏ならではの、ある光景が見られる。そう予測して、そのためには近辺で最適のスポットである宝ヶ池公園に足を運びます。
日が沈む頃の空はこんな感じ。上記の過去記事にアクセスして、「4つのポイント」と照らし合わせてみてください。
予想にたがわず、空は染まり始めます。
こちらは南東の方角。この方向でも赤く染まるのが今の季節の夕焼けなのです。
南西の方角。華麗に染まってきています。
そして最も鮮烈だったのは当然というか、ほぼ真西の方角です。
そこからいくらか北寄りにカメラを向けてもこの通り。でも、それだけではありません。
場所を移動してほぼ真北の方向で撮っても、こんなに赤く染まっています。
国際会議場と比叡山を望む北東の方角でも、ここまで焼けています。
池とは反対方向、つまり南西側はやはりこんな感じ。
まさに、全方位の空が赤く染まっていたのです。
こんな夕焼けが見られるのは、まず夏だけです。今日はいい具合に巻雲などの高空にかかる雲が広範囲に出ていたので、360°の夕焼けが見られるかもしれない。その読みは見事に当たりました。
ここ宝ヶ池公園というのは、水面への映り込みが美しいことに加えて、こうして池の周りを移動することで開けた場所でいろんな方向から夕焼けが撮れるので、「全方位の夕焼け」を撮影するには最適なスポットなのです。
で、元の場所に戻って、西の方向。最後まで染まっているのはやはりこの方向です。
いわゆるマジックアワーに入りつつあり、ちょっとファンタジックな雰囲気です。
ということで、今年一番の夕焼けを見られたというわけで、朝に続いて連投してしまいました。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。
太地町から
この夏の南紀への旅は、すさみ町をやはりメインとしつつも、太地・串本へも足を運んできました。ということで、今回はくじらの町・太地の絶景をお届けしていきます。
太地町には去年の夏にも一度訪れていますが、このときは時間が限られていたのと、初めてかつ無計画(その日に行くのを決めた)だったので土地感覚もわからず、行けた場所もごく限られていました。
ここ燈明崎ぐらいでしかまともな撮影をできていません。
絶景ポイントである梶取崎(かんどりざき)も行き損ねたということで、今回はリベンジを期しました。
これは南紀全体に言えることですが、太地町は半島部分にあるものの全体に高台で、土地の起伏も激しい。少し行くだけで高台に登り、こうやって海を見渡せます。
ご覧の通り、漁港を見下ろすあたりです。
そして本命ともいうべき、梶取崎へ。地図は下の通りです。
船がこの岬をしるべとして舵を取ったということが名前の由来で、岬には灯台が設置されています。
そして「園地」とあるように岬の上は公園として整備されています。
芝生の広場から灯台を、その先に海を望むとこんな感じです。
古くから捕鯨で栄えた土地だけに、こうしてくじらの供養碑も建てられていました。
こちらは狼煙場跡。
古式捕鯨ではこうした高台から見張り、鯨が出現すると狼煙を上げて村中に知らせたのでしょう。それだけに、眺望の良さも随一です。
先には、より見晴らしが開ける展望所があります。
そして海を望みます。こちらは正面。
北側、燈明崎の方向です。
海岸まで降りて、灯台も見上げます。
こちらは燈明崎方向。波の浸食により露出した地層は、いわゆる「鬼の洗濯岩」状態になっています。
次に、もうひとつの絶景スポット・平見台へ。「平見」というのは南紀にはよく見られる地名で、海岸段丘が隆起して平らな台状になったものを意味します。
ここから眺める、二つの鋭角三角形の奇岩が素晴らしい。
ズームするとこうです。
こちらは展望所。土地の人のお話では、最近周囲の樹が刈り込まれ、見晴らしが良くなったとのことでした。
南側の海。逆光なので海面の煌きが映えます。
最後に去年も訪れた燈明崎にも行きましたが、燈明台が色を塗り直されていました。
こちらから梶取崎方面を望みます。
ほぼ正面の眺めです。
ということで、太地での絶景撮影も成果十分ということでした。
この日は晴れていながら空の青さがくすみがちで、そのため空をより青くしようとカメラの色設定をいじったのですが、一部不自然に青くなったところが出てしまったのが反省点かもしれません。元のままだと空の青みが足りず不満も残るだけに、ディレンマです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
すさみの夏~熊野古道・馬転坂から眺める枯木灘~
前回に引き続き、南紀すさみから。
今回撮影のために足を運んでみたいスポットがありました。熊野古道の馬転坂というところです。
すさみにはかの熊野古道も通っていて、一帯は「大辺路(おおへち)」に属します。そのコースの一部となっている場所です。
上に貼ったGoogle Map の航空写真で見てもわかりますが、山中になぜか開けた場所があります。ここから枯木灘の海を望んでみるとどんな感じなのか、気になっていたからです。
ということで、入り口はこの辺り。周参見駅から国道42号線に出て見老津方面に進みます。トンネル(白島トンネル)を抜けてしばらくすると、道路から山中に入る道があります。
古道歩きの方向としては熊野三山へ向かうのとは逆方向になりますが、今回はあくまで展望所からの撮影が目的なので。
こんな山道です。
途中に、何の目的で建てられたのかわからない、今や八重葎に覆われた小屋がありました。
まだ朝8時台とはいえすでにかなり暑かったのですが、しばらく歩くと、上の航空写真でもわかる、開けた場所に出ます。
草原が広がり、彼方には海。眺望は予想通り、素晴らしいところです。
日本の風土でこんな草原が山中に自然にできることはまず考えられないので、当然これは人為的に切り開かれたのでしょう。何かの開発が中途で放棄された跡と思われ、車の轍が残っているところもありました。所々に松などの樹も伸び始めていたので、年月を経ればいずれまた森林に戻るはずです。
ゆるやかな道を辿って(その分かなりの距離を歩くことになりますが)、切り立つ崖の上まで行けます。
海の眺めもさらに開ける一方、観音様の像が佇むのが見えます。
古道歩きの人たちを見守るように建てられたのでしょうか。
観音像の上で囀るイソヒヨドリ。色からすると雌か若鳥の雄ですが、イソヒヨドリは雌でも囀ることがあるとのこと。
崖上から広がる草原の向こうに青い海を望む、やはりここは絶景スポット。
草原もこれだけの広さ。何か特撮ドラマの戦闘シーンの撮影でもできそうです。崖の上からヒーローが敵を見下ろす、というような。
こちらは同じ画角を魚眼レンズで。魚眼撮影って独特の奥行や遠近感が出て本当に面白いです。
ということで、すさみの絶景スポットをさらにもう一つ発見。そのたびに、すさみ行きで撮影スポットのフルコースを試そうとするとメニューが増えていきそうです。
道路まで降りても、やはり海の眺めは最高。
本来の古道歩きであればここでいったん道路に降りた後、しばらく歩くと「長井坂」への入り口にさしかかります。以前にそのコースを歩いたこともありますが、今回はこれ以上古道には入っていません。
では、今回はこの辺で。ご覧いただきありがとうございました。
すさみの夏~婦夫波の表情いろいろ~
当ブログのアクセス解析を確認してみると、Google でも Yahoo でも、すさみ関連で検索して訪問してくださっている方は結構多い模様です。すさみの「関係人口」のひとりとして綴っている「すさみ応援ブログ」としての役目も、それなりには果たせていることを感じます。
ということで、この夏も昨週末に南紀に足を運びましたので、そこで出会った風景を紹介していきましょう。太地、串本も訪れていますが、この旅のメインディッシュはやはりすさみということで、まずはこちらから。
以前の記事でも触れましたが、こちらがすさみ海水浴場。
この夏から「いなづみアクアパーク」がオープン。海の家が設けられ、ご覧のように海には子ども向けの遊具も設置されるなど、設備も充実です。
これは早朝に撮ったものなのですが、昼間は当然というか、なかなかの賑わいを見せていました。
そして、今回はまず、すさみを代表する絶景スポット・恋人岬の婦夫波のさまざまな姿をお届けしましょう。
まずはオーソドックスに。真昼頃に干潮になる時期でしたので、その時間帯には、海岸まで降りると、両側の波の間が磯として露出していました。
なので、こんな感じです。
向かって左側から押し寄せてくる波(婦夫波の、妻側とされます)を、ほとんど正面から撮ることもできました。
向かいの黒島(陸の黒島)にもこんなに近寄ることができます。もっとも島との間には淵があるので、どんなに引き潮でも歩いて島まで渡ることはできないようです。
こちらは逆に離れたところから、旧国道42号線からの遠望。この眺めでも、ずいぶんと潮が引いていることがよくわかります。
こちらは翌日、朝6時台の撮影です。波は弱めでしたが、早朝らしい深みのある空の青さのもとでの撮影も味わい深い。
昼頃にもう一度足を運んでみると。前の日より天気が良かったので空の青さに、真夏らしい海のエメラルド色が映えます。
波をズームしてみると、いよいよエメラルド色も引き立ちます。
さらにズームです。
と、婦夫波のいろんな表情を見ることができたのが、今回のすさみ行きの何よりもの収穫でした。
まだまだ出会えた絶景はたくさんありますが、今日はこの辺で。
今回もご覧いただきありがとうございました。