光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

荒れた海の日こそ絶好の撮影チャンスである3つの理由

 南紀すさみを中心に海の風景写真を撮り続けて数年になりますが、そのなかで経験的につかめた、しかしさまざまな写真の技法書にはあまり載っていない撮影上のポイントというのがあります。「荒れた海こそ狙え」「海が荒れている日こそ、絶好の撮影チャンス」ということです。

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 これは3年前の夏にすさみに行った折に撮ったもの。この時は「行ってみたら海が荒れていた」というもので、海の状態については狙って行ったわけではありません。ただご覧の通り空の青さも最高だったことも加わり、今まででも最高の撮影日の一つとなっています。

 後に別の撮影日と比べてみると、「海が荒れていたこと」こそがこの日がベストな機会であった理由であることに気づきました。

 この点を心得てから、私などは積極的に海が荒れていそうな日を狙って撮影に行くようになっています。

 荒れた海の日こそがチャンスというのは、3つの理由があります。

 

1. 波立つ海の躍動感

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 わかりやすい理由といえばこれです。寄せては返す、荒々しい波のダイナミズム。高々と上がる波飛沫。こういうものを撮れる絶好機だからです。また同じ風景でも波の立ち方、崩れ方は一つひとつ違うので、撮るたびに個性的な一枚となります。海が穏やかだと「いつ撮っても同じ」になりやすいのと比べると、「この瞬間にしか撮れない一枚」を手にするためには海が荒れて波立っている日を狙うに越したことはありません。

 また海が荒れていてこそ、断崖絶壁から見下ろして撮っても迫力が増すというものです。

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 魚眼で撮ることでさらに迫力を増しています。

2.  荒れた海の方が色鮮やか

 これは写真の技法書などでもほとんど触れられていないことですが、空が晴れていれば、海の色は荒れて波がうねっている時の方がずっと鮮やかです。以前の記事で取り上げました。

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 特に日差しの強い夏であれば荒れた海の色はますます映えます。

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 これこそが海の荒れている日こそ絶好の撮影チャンスである最大の理由です。

 

3. 海面のきらめきが素晴らしい

 荒波に揺れる海面であればそれだけ乱反射も激しくなりますから、キラキラ感も増します。穏やかな海ではまず見られないようなドラマティックな写真となります。

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 ある程度撮影経験がある人なら常識でしょうが、こういう場合は何より逆光で撮ることです。ただしまともに太陽の光がレンズに入ってしまうと写真が乱れやすいので、もっぱら海面だけを切り取って撮るか、空も入れたければ太陽高度の高い夏の昼間に撮ることがおすすめです。

 

 そんなわけで、あくまで晴れた日であればですが、海が荒れ気味の日をあえて狙って撮影に行ってみる価値は大いにあります。

 

 そういう日というのは、

 

前日が荒天で、晴れ上がってもその余波が残っている翌日。

遠方に台風が接近していて、当地の天気には影響していなくても海の荒れはもたらしている日。

 

 などが該当します。台風が近づいているのは沖縄あたりでも南紀の海まで荒れていることもあり、海上への影響はかなり遠くまで波及するようです。台風とは無関係に、晴れていても強風が吹き荒れて海が荒れる日というのもあります。

 天気予報で当地の「波の高さ」をチェックすればそんな日かどうかは確認できるでしょう。私もこの情報と、当地の友人のSNSへの書き込みなどを手掛かりにして行くことを決めます。この6月のすさみ行きもそれで判断しました。

 

 もちろん撮影にあたっては、海に不用意に近づきすぎないように気をつけてください。波をぶっ被ってカメラが壊れでもしたら元も子もありませんし、波の激しさによってはそれどころでは済まない危険もあります。予想もしない大波が突如押し寄せてくる可能性も十分にあるので、波打ち際から十分離れた位置や、絶対に波が届かない高所など、確実に安全と言える場所からの撮影に徹してください。無謀な撮影は禁物です。

 波によって岩場が濡れて滑りやすくなっている、こうした日は当然強風が吹きがちなので身体のバランスを崩しやすいなども要注意点です。安全は何にもまして最優先です。

 また、直接波を被らなくても風とともに潮が吹きつけることがあり、レンズが濡れて曇ってしまったり、さらに悪くすればカメラを傷めてしまったりすることもあるのでこちらも気をつける必要があります。

 これらに留意した上であれば、荒れた海の日は絶好の撮影チャンスです。みなさまもご参考に。

 

 それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。