残秋というもの
「残秋」という、美しい響きのことばがあります。
残された秋。時候の挨拶としては立冬時期に使うものとされますが、立冬、つまり平年11月7日といえばこれからが紅葉の季節本番。ここで「残された秋」というのは、現実の季節感覚からは大きくかけ離れているように思います。
「残暑」というのも時候の挨拶上は立秋(8月7日頃)以後ですが、実際には暑さの盛りそのものの時期で、それなりに実感をもって「残暑」という感覚を持てるのは9月に入ってからというのと、事情が似ています。
「残秋」というのは、季節的には初冬にあたる12月前半、まだ色づいた木の葉も散りきらず、秋の名残があちこちで感じられるような時期に使った方が、実際の季節感を反映しているように思いました。
折からの気候変動で、そうした時期も年々遅くなっているはずです。
ということで、先の週末に京都で見つけた、秋の名残を。
まずは比叡山麓・八瀬のあたり。
葉を散らした樹々もちらほらですが、まだ秋色は残っています。
こちらはほとんど見頃に近いぐらいに残った紅葉。
北白川の志賀越道あたりで。
哲学の道沿いで。こちらはまだ見頃そのものという感じでした。
安楽寺の山門。
散り残しという雰囲気でしたが、秋がまだ残っていました。
山科・天智天皇陵参道入口。
ここの紅葉の見頃は例年遅く、12月後半まで見られます。
山科疏水まで足を伸ばして。
こんなふうに、まだ青もみじまで残っていたのも驚きでした。
紅葉は日当たりの良いところから色づき、また赤く染まりやすいとも言われるので、このあたりは日陰になりやすかったからでしょうが。
先の季節の兆しや、前の季節の名残を探していく。こういう風景撮影も面白いものでした。
もうしばらくは秋色が街のあちこちに残っていそうですが、撮影としては今年は先週末で撮り納めというところでしょう。