光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

新緑が美しい場所は紅葉も美しい

 紅葉撮影は毎年秋の最大の楽しみといっていいのですが、単に「紅葉の季節になったから撮る」だけだった頃と比べても、ここ何年かで私の撮影テーマも大体固まってきました。

 それは「秋を彩り豊かに撮る」ことです。モミジの赤ばかりでなく、いろんな樹種の、黄色や橙の、それぞれの色づきを合わせて撮る、ということです。

 

 京都にいれば寺社で「紅葉の名所」はたくさんありますが、そういうスポットだとモミジ一色になりやすい。むしろ京都を囲む里山の雑木林こそが、「カラフルな秋」を撮るには一番のスポットということになります。

 そしてここ数年メインフィールドとなっているのが、京都郊外・比叡山麓の八瀬。紅葉の名所として近年名高くなっている瑠璃光院は予約を入れないと拝観できないほどになっており、この季節は観光客で賑わいます。けれども、私からするとこのスポットの魅力はむしろ道路から見た比叡山腹。モミジに加えて多種多様な木々が茂り、彩り豊かな秋が見られるのです。

 地図では、こちら。

「もみじの小径」で示した地図ですが、小径に入って歩くよりも、道路側から山腹を眺めた方が華麗な秋色は堪能できると思います。

 近場ということもあって、今年も休みのたびに足を運んで、彩りの移り行きを追ってみました。

 まず10月末。この辺りのモミジの色づきはやや早めなので、11月を待たずして、もう色づき始めています。

 手前にあるのはヤマザクラ。撮影のアングルを定める目印にもしています。

 

 こちらは11月3日、文化の日に。

 モミジの一本一本の樹で色づき方も違い、彩りの豊かさを増しています。

 

その週末、11月6日。1週間で青々としていた樹もすっかり「秋」を感じさせるほどの色づきを見せています。

 その翌週。これぞ秋という華麗さ。モミジの背後の樹々も黄色、山吹色、橙と色づいてコントラストが美しい。

 先週末が、見頃のピークだったと思います。他のスポットと比べても見頃はやや早い。

 ご覧のように、情熱的なまでに秋色が燃えています。背景の秋色もいよいよ深まり、あとは葉を散らしていくでしょう。

 このアングル以外でもいろいろと秋の彩りを撮りましたが、それはまたの機会に。

 

「彩り豊かに撮る」のは、秋色だけでなく、春色も同じ。新緑に山桜や春紅葉を合わせ、春もまたカラフルに撮れる場所が、ここです。

 こちらは新緑芽吹いて間もない今年の春先。

 まだ淡い緑に、山桜や春紅葉が、やわらかな彩りを添えます。左下にある山桜が、上の秋色写真にあるものと同じです。

 

 これがさらに緑を深めて。手前の山桜で、秋色とだいたい同じアングルで撮っていることもおわかりかと思います。

 4月も末になると、まだ新緑らしい瑞々しさは残しつつ、すっかり緑一色の光景となります。新緑の見ごろもこれぐらいまで。

 前の記事でも強調したことですが、新緑のベストな時期は4月中。5月では遅すぎます。

 

 そんなわけで、春色撮影スポットは同時に秋色撮影スポット。新緑が美しい場所は黄葉も美しい、ということです。

 考えてみれば当然で、新緑と紅葉は表裏一体の現象。落葉樹だからこそ見られるものです。秋に葉を色づかせ、散らした樹々が、翌春には改めて葉を芽吹かせる。その繰り返しにほかならないからです。

 そんなわけで、紅葉を、秋色を美しく見ることができた場所は、翌春、新緑を求めてもきっと美しいものが見られるに違いない。これを知っておくと、「自分だけの撮影スポット」を見つける上でも、助けになると思います。

 

 それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。