早すぎた春の日の夕日
夕日を撮るなら、真紅に限る。これが私の徹底したこだわりであって、真紅に染まらないような日なら、夕景は撮っても、夕日そのものの撮影は捨てる。それぐらいのつもりです。
ただ、京都だとなかなかそういう機会には恵まれません。太陽は地平線に近づくほど赤さを増していきますが、そうなる前に早々と西山に隠れてしまうからです。
そこそこ日の高さがあるうちに赤く染まるのは、空気が霞んだ日しか期待できません。澄みきった快晴の日は、黄色いまま沈んでしまう、残念な夕日に終わってしまいます。
そういう霞みがちな日がいちばん多いのは、一年のうちで春。春霞のほか、黄砂やPM2.5など、いろいろ要因は入り混じっているようです。
先週末は3月を飛び越して4月になったかと思えるほどの暖かい日で、気象条件は春本番と似ていました。空を見上げても、晴れ渡ってはいたもののいくらか霞んで見え、これは赤い夕日に出会うチャンスを予感させるものでした。好都合なことに休日です。
ということでまず土曜日。このときは、神楽岡からの撮影です。こちらの記事でも紹介しました。
真紅……というところまではいきませんでしたが、山の端にかかるところでグラデーションが見られたので、まずは満足というところです。
日曜日も似たような気象条件。より暖かかったこともあり、ここは最高の場所で撮ってみようということで、今年初めて、大文字山に登ります。ここまで暖かい日でなければ、2月に登ることはなかったでしょう。
銀閣寺からの定番の登山道ですが、途中から火床の間を通るコースで登ります。傾斜は急ですが、距離ではこちらのほうが近道。というか、夕映えで染まる火床の光景を撮りたかったからです。
こんなふうにです。
そして登って眺めると、こんな感じ。
ご覧のとおりやや霞んだ感じなので、夕日が染まることも期待できそうです。
夕映えの京の街を眺望。こちらは北側で、左手側に見えるのが吉田山。
西日を浴びる街並み。「空を入れずに夕景を表現する」趣向です。
より夕の色合いが増した街。
南の方。夕日を入れて撮るなら、やはり右に寄せたいところ。
少しズームして。
そして山の端にかかる間際で、真紅に染まっていく様子が見られました。
朱の空にグラデーションの夕日。こんなふうに撮りたい、というところです。
赤さはさらに増すものの、半分近く山に隠れています。
名残惜しさ。
暖かい日だったため登山者も多く、夕日を撮っていた人も大勢でした。多いとは言ってももちろん、三密になるような状況ではないですが。
ということで、撮影を終えたら、明るさが残っているうちに下山する必要があります。少し駆け足気味で、20分ほどで麓の灯りがあるところまでたどり着きました。
春本番に、またこういう機会がくることを期待したいところです。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。