真紅の夕日を撮りたい
夕日を撮るなら、これが私にとっては理想的です。
実際に夕日撮影をされている方なら当然おわかりかと思いますが、肉眼で赤く見えている夕日も、写真にしてみると思いのほか赤くならないことは多々です。白っぽかったり、見た目より黄色寄りの色に写ったりするということはよくあります。
写真に撮っても真っ赤な夕日というのは、そうそう出会えません。
けれども夕焼けではなく夕日そのものを狙った写真であれば、私にとってはそう撮れてこそ成功、と感じます。初めてデジカメを手に撮影した日、今振り返ればビギナーズ・ラックとしか思えないそんな夕日に出会ったことで、期待水準が高くなっているのは否めません。
その時の写真はレベルも画質もとてもお見せできるものではないのですが、同じ場所(京都・修学院離宮付近)で同じような感じで撮ったものがこれです。
真紅の夕日を撮れるのでなければ、夕焼けには期待しても夕日そのものを狙った撮影はあきらめる、というぐらいです。
そういうわけで。これはつい先日、京都で撮れたものです。
よりズームではこう。
さらに別の日。
理想に近い色の夕日に出会えたのがこの日でした。
これが撮れる条件は、微妙です。
夕日が赤く染まるのは、大気層を通過する距離が長くなるとその分光が大気中のチリや水分子などに光が散乱されやすくなり、太陽そのものからは、波長の長い赤の光だけが届くようになるためです。地平線に近づくほどその距離は長くなるので、いっそう赤みを増します。
逆に言うと空気が澄みすぎていると光を散乱させるものが少なくなり、より短波長の光も届いてしまうため黄色っぽくなります。快晴の日はむしろ残念な夕日になりやすい。ほとんど赤に染まらないまま地平線下に沈んでしまいます。
真っ赤な夕日が撮れるためには、むしろ地平線近くの空気が澄み切っていないほうがいい。薄雲か、あるいは何かの大気中の不純物か。春霞や、黄砂や、ひいてはPM2.5ということもあります。でもそれが厚いと夕日が隠れてしまう。そういうディレンマがあります。
微妙な条件が重なってこそ、真紅の夕日が撮れるというものです。
上の夕日だと、真紅に染まる前はこんな感じでした。
海に沈む夕日のほうが真紅に染まったものが撮りやすいのも、海上なので水蒸気が発生しやすく、薄雲がかかりやすいからでしょう。
こちらは先日の「すさみの夕景」で紹介したものの再掲です。
こちらは明石海峡大橋の下に沈む夕日です。
私の住む京都では西方も山があり、地平線に到達するよりずっと前に太陽が隠れてしまうので、いっそう真紅の夕日を撮るのは難しいところです。
それでも年に何回あるかというチャンスに出会えたものを、いくつか。いずれも春の時期に京都で撮影したものです。
この「夕日によって山の稜線の木々が浮かび上がる」光景もまた私の好きな趣向なので、いずれこちらも特集してみたいところです。