「一発逆転の夕焼け」~曇りの日にこそ狙う~
天候が曇りがちで思わしくなく、気分まで打ち沈みそうな一日。そんな日の終わりに壮麗な夕焼けが見られたりすると、たちどころに一変する。それまでの残念さを取り返すようにハッピーな気分に包まれる。
そんなことがあります。
……とここまで天候と気分が連動するとも限らないでしょう。でも写真撮りとしては、さして撮影日和でもないと思われた曇天の一日の終わりに鮮烈な夕焼けに出会え、カメラに収めることができれば、それだけでもその一日は満たされたものに変わるというものです。
そういう意味を込めて「一発逆転の夕焼け」とでも呼びたい夕焼け。昨日カメラに収められたのがまさにそれでした。
でも実は曇りがちの日は、もしかすると華麗な夕焼けを目の当たりにできるかもしれないチャンスです。
そもそも雲が染まらなければ夕焼けにはなりませんから、雲一つない快晴の日には夕焼けは期待できません。むしろ染まる雲が広がっていてこそ、一面が赤く焼ける壮観が現れる可能性も高まります。
もちろんそうでない曇りの日も多いのですが、こうした「一発逆転の夕焼け」を見逃さない。一期一会の瞬間を写真にとどめる。そのために必要なことに触れていきましょう。
以前のこちらの記事でも、少し触れたことです。
「一発逆転の夕焼け」が現れるかどうか。見極めどころは、「地平線近くの空が開けているかどうか」です。
夕焼けとは地平線下に沈んだ夕日が、上空の雲を照らし上げることによって生じる気象現象です。このときには長い波長の光、つまり赤色が中心になるので、雲が赤く染め上げられるわけです。
空一面を雲が覆っているようでも、地平線付近の空が開けていれば、沈んだ太陽の光は遮られません。しかも雲か多いということは湿度が高い、つまり大気中の水分が多いということなので、より赤い光が散乱されやすくなります。
そんな時こそ一面の雲が染め上がる、鮮烈な夕焼けが現れるのです。
昨日の夕焼けも、ズームの一枚をご覧ください。
山の端辺りの空は開けていることがわかるでしょう。
広角撮影では南側は雲に覆われているようですが、この様子だと、山に隠れた部分の空は開けているのでしょう。だからその下に太陽が沈んでも、光は遮られていません。
似たような状況を過去の撮影から。まず夏に京都での撮影。
こちらも左手側の雲は、山に隠れた部分の空にまではかかっていないようです。
もう一枚、琵琶湖畔から。
射している光でもわかりますが、ちょうど太陽の没する辺りの空は開けています。この夕景についてはいずれ記事でも取り上げます。
いずれも、地平線付近で雲が切れているからこそ見られた夕焼けでした。ちなみに今日は京都では夕方に晴れ間が広がったものの、地平線近くを黒雲が覆っていましたから、夕焼けは望めない日でした。
曇りでも、地平線近くの空が開けている。そんな時こそ素晴らしい夕焼けを期待できる絶好のチャンス。これを心得ていると、写真を撮るにも、ちゃんと準備できます。家からカメラを持って出かけるにしても、あるいは外出中に、綺麗に撮れそうなポイントに移動するにしてもです。
同じものに二度と出会えない夕焼けだけに、撮影には「空振り」より「見逃し」のほうが圧倒的に悔しいですからね。
これからの季節はそれほど頻繁には夕焼けに出会えないかもしれませんが、美しい夕焼けに出会うためには知っておいて損はない話でした。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。