昨日は今回のすさみへの旅での夕景を紹介しました。海の美しい場所は、夕日が美しいのも当然。
すさみ町は南西側が海に面しているので、秋~早春は海に沈む夕日を眺めるには理想的な地です。
そういうわけでこの機会に、過去にすさみで出会った夕日についても語っていきましょう。
まずは去年の同時期のすさみ行きの時から。
夕映えに染まる婦夫波。
場所を移して、西浜のあたりで落日を望みました。下の地図の中央あたりです。
海に沈む夕日を撮る場合、私のポリシーは、できるかぎり「海と夕日だけ」の写真にしないこと。そうなると構図が単調になり、どこで撮ったかもわからないような写真になってしまうので、岬や島、岩、船など海と夕日以外のものを入れるよう工夫します。
そういうわけで、岩を合わせて撮れるスポットを選びました。
夕日そのものがグラデーションの色調を帯びてきます。
そして真紅に染まる夕日に。私にとってはこの色合いが夕日写真の理想です。
ズームで切り取ると、そこはまさに真紅の時間。
さらに紅みを増して、水平線に沈む前に薄雲に隠れました。
夕日がこんなふうに真紅の色合いを見せるのは、薄雲が水平線近くにかかっているときです。快晴すぎると強い光のまま、それほど赤く染まらずに水平線下に没しますが、いくらか光を遮る薄雲があるといわばフィルターとなって、赤い光だけが透過しやすくなるわけです。あまり雲が濃いと太陽そのものが隠れてしまうので、本当に微妙な条件です。海上の方が水蒸気が発生しやすいので、真紅の夕日を見る機会は多くなります。
ちなみにご覧になるとおわかりかと思いますが、「夕日は右に寄せて撮る」というのも私の構図上のこだわり。左側を「これまで通ってきた空間」「過去」として空けることで、夕日らしさを表現しようという意図です。逆に朝日であれば「これから通っていく空間」「未来」を右側に空けるために、左に寄せたいところです。もちろんとの条件にもよりますが。
写真の技法書を読んでも、こういう撮り方に触れているのを見たことがないので、あまり技法としては一般的ではないのでしょうか。
次はさらに遡って、一昨年の12月、だいたい冬至の時期に行ったときのこと。
恋人岬での撮影ですが、実はここで黒島、婦夫波と合わせて夕日を撮れるチャンスは、1年のうちでほんのわずかです。
冬至の頃というわけで、太陽はこれ以上南、島側には寄りません。すぐ北側には陸があるので、これがギリギリということです。ここは和歌山の夕日百選の一つに指定されていますが、ここで夕日が撮影できるのは冬至周辺の時期に限られるのです。
最後に日没後の見老津駅前のトワイライト。1年で一番日が短い時期でしたから、5時過ぎで早くもこうです。
その日の太陽の沈む位置を確認するには、スマホの「日の出日の入りマピオン」のアプリは本当に便利ですね。