山桜の春と秋
「桜紅葉」という言葉があります。
桜の葉が秋に紅葉するさまを表したものです。
秋に鮮やかな色づきを見せるのは、モミジ(カエデ)だけではありません。さまざまな落葉樹がそれぞれの色合いに染まって、秋景色を彩ってくれます。
桜もその一つで、至る所で目にするソメイヨシノも、秋には赤く色づいて、春の鼻にも劣らない美しさを見せるものです。
野生種であるヤマザクラもまた、秋には美しい色づきが見られます。こちらがこの秋撮影の一枚。私の季節の彩り撮影のメインフィールドとなっている京都郊外・八瀬でのものです。
二つのヤマザクラの樹が色づいていますが、特に左側の樹が真っ赤で美しい。
春の新緑の時期に撮ったのはこちら。配置と周囲の様子から、同じ二本の樹を撮ったものだとおわかりでしょう。
春色と秋色、いずれ劣らず美しいものです。こんなふうに比べられるのも同じ場所での撮影を重ねていればこそです。
ソメイヨシノは挿木で人為的に殖やされたものであるため、日本中どの樹も遺伝子型は同じで、いわば「クローン」です(「クローン」とは元来挿木を意味します)。開花時期も花の色もみんな同じで、秋の紅葉もまた、時期も色づきもそうなります。
けれどもヤマザクラは野生種なので一本一本遺伝子型が違い、花の色も開花時期も、また紅葉の色や時期もみんな異なります。だからこの写真の二本も、ご覧の通りの違いがあるわけです。
ソメイヨシノにはないヤマザクラの魅力については、こちらの記事でも語っていますので、こちらもどうぞ。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。