光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

山桜の愉しみ

 今回も散策圏の近場から。京都郊外・八瀬のとある里山にて。

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 昨日は久々の雲一つない青空、新緑もいよいよ映えます。「山笑う」という言葉がぴったりです。

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4月も終わり頃になると新緑も鮮やかさを増してきましたが、その中でも点々と山桜の花が、彩りを添えています。 f:id:naosuke21036:20200426081517j:plain

 今年は新型コロナウィルスの影響で花見にもなかなか出かけられなかった方々も多いでしょう。私も桜は近場か通勤経路上で眺め、撮るばかりでした。

 こちら八瀬の里山は、この辺りを撮影フィールドとしているのが私以外に(たぶん)いないせいか、ほとんど人と接することもなく撮影できました。わが家からほど近くにこういう場所があってよかったところです。

 近場の里山がもっぱらだった分、今年はとりわけ、私にとっての花見はほとんどが山桜でした。

 花見といえばまずソメイヨシノですが、これは江戸時代に品種改良で生まれ、平地に植えられるようになってから広まった風習。桜の花を楽しむこと自体は平安時代に始まったとされますが(それ以前は「花」といえばまず梅でした)、当時は野山で山桜を愛でることが中心でした。

 ある意味では、過去の時代に回帰したような花見です。

 ソメイヨシノほか、平地に「植えられた」桜にはない、山桜を愛でる愉しみは、2つがあげられます。

  • 楽しめる期間が長い

 山桜の開花時期は、個々の樹によってバラバラです。4月初めに咲くものもあれば、今回の撮影のように、4月も終わりごろにも咲いているものもあります。

 昨日はこうだった場所ですが、

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 2週間ほど前に、こんなふうにぽつんと咲いていました。新緑の色づきから、時期の違いもよくわかると思います。

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 ソメイヨシノは自然繁殖できず、いま日本中に植えられているのはもっぱら挿し木によって増やされたものですから、遺伝子型は同じ。元の樹の「クローン」といっていいものです(そもそも「クローン」とは本来は挿し木を意味します)。

 だから開花時期も同じ土地、つまり同じような環境条件であればほぼ同じ。一斉に咲き、一斉に散っていきます。花見を楽しめる期間は一定しています。

 山桜は自然種なので、個体によって遺伝子が違い、咲く時期もばらばら。同じ山でもまちまちということもあります。

 だから、全体としてはソメイヨシノより、ずっと長い期間の愉しみがあるというのが魅力です。

  • さまざまな色とのコラボを楽しめる

 植えられたソメイヨシノのように桜色一色という光景が見られない代わりに、山中に自生する山桜は、他の樹々の色とのコラボが美しい光景になります。

 まだ新緑も淡い時期。

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 山桜自体も春先の葉は「春紅葉」で赤色を帯びますから、その色とのコラボもあります。

 

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 より鮮やかになってきた新緑と一緒のことも。

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 遺伝子に個体差があるということは、花の色もそれぞれ違います。

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 かなり濃くなった新緑との取り合わせが見られることも。

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 こんなふうにカラフルな春色の一つとして風景を演出する。そんなところも山桜の魅力です。

 その季節もそろそろ終わりが近づいていますが、来年はコロナウィルスの流行も収束して、心おきなく楽しめることを祈ってやみません。

 では、今回もご覧いただきありがとうございました。