以前の記事でも取り上げた「春紅葉」という現象。
春に芽吹いた若葉が、まだ十分に葉緑素を生成する前に、秋の紅葉をもたらすのと同じアントシアニンという赤い色素を生成することが原因です。
このため、春先には野山で、意外と赤っぽい彩りが見られることがあります。
モミジやヤマザクラほか、いろいろな樹種で見られますが、これらとは別に注目したいのが、クスノキの春紅葉です。
ということで、次の写真をどうぞ。
鴨川上流、柊野堰堤付近で今月上旬に撮影したものです。
右側の樹がクスノキですが、ご覧のように秋のようにほとんど真っ赤に色づいています。
左側のカツラの樹が見るからに新緑色なので、これを秋の風景と間違えることは無さそうです。でもここまでの赤く色づいた葉を春に見るのは意外な気がするかもしれません。
クスノキは、常緑樹です。ですから秋に紅葉して葉を散らすことはなく、冬の間も青々とした葉を茂らせています。
けれども、春に一斉に葉を落とし、代わって若葉を芽生えさせるので、そのときに秋のように紅葉する光景が見られるのです。
新緑のカツラの樹とツーショットでの対比。
個体差があるので、ここで取り上げたように樹全体が真っ赤に見えるぐらい色づくこともあれば、葉先が赤く色づくだけのこともあります。
街路樹、公園や学校の植栽としても色々なところに植えられているクスノキで、今の季節ならまだまだこうした赤く色づいた葉が至る所で見られます。ちょっと注目して観察してみると、この新緑の時期の季節感をより味わえるのではないかと思います。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。