光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

すさみ八景プラス八景 その1 フェニックスの褶曲

 地元で公式に選ばれた「すさみ八景」では足りない、「絶景を見つけられる土地」すさみの隠れた名所を紹介していく「すさみ八景プラス八景」企画。

 まずは予告通り、フェニックスの褶曲(フェニックスクリフ)からです。

 すでに何度か過去記事で取り上げてはいますが、「プラス八景」のひとつとして、このスポットの魅力をいろいろとみていくことにしましょう。

 硬いはずの地層が、さながらロールケーキのようにぐにゃりと曲がった奇観。一度訪れてその目で見れば、十分すぎるインパクトを受けること間違いなしです。

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 地質学で言う「褶曲」です。単にたわんだり曲線を描いたりするどころか、「つ」の字型にぐにゃりと曲がっている。ここまで見事なものは世界的にも珍しいとのことです。学術的価値も高く、また中学・高校の地学の教科書にもしばしば登場しています。もしかすると、「教科書で見たことある!」という反応もあるかもしれません。

 南紀熊野ジオパークジオサイトの一つとなっています。

 さらに近づいてアップしてみるとこんな感じ。

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 こんなふうにS字に曲がった部分もあります。

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 この地域に形成された地層が十分に固まる前に地殻変動によって陸地に圧しつけられた結果としてこんな風に曲がったとのことで、2000万年~4000万年前という人間のスケールをはるかに超えた時代に出来上がったとのこと。人間の目にはただ硬い岩としか思えないものも悠久の年月を経ればこんなふうに曲がることもある。自然の営みの不思議さをまざまざと実感させられるところです。

 少し離れて、海に向かって突き出した岩棚から広角に撮ってみます。

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 手前のエビ反りのような岩も、褶曲の一部。周りの地層が浸食されて、ひとつの曲がった層だけが残ったものです。

 角度を変えるとこんな風にも見えます。

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 もう一枚広角撮影から。

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 ご覧の通り、よく見るといろんな箇所の岩が大なり小なり曲がって丸みを帯びていることがわかります。曲がり方がいろいろなのも、それだけ地殻変動が複雑だったということでしょう。

 海岸をさらに奥に行ったところから撮影。重なった地層が剥き出しになり、さながら岩の砦のような荒々しい景観を見せています。

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 こんなふうに積み重なった地層のうちで地殻変動の作用を受けた部分が、ぐにゃりと曲がっているというわけです。

 この一帯は、褶曲ばかりでなく、荒々しい海岸美それ自体も十分に魅力です。

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 海辺まで迫り出した峻厳な岸壁と、その上に生い茂る常緑の樹々。

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 海が荒れ気味の時に撮ったものから。

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 海が荒れて海岸の岩場まで降りられなかったのですが、この荒海の景観も十二分に魅力的です。

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 崖の上から、先の岩場を見下ろしての撮影です。

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 一度足を運んでその目でご覧になっていただきたいすさみの絶景スポット、「プラス八景」の筆頭ということもおわかりいただけたかと思います。
 ということでアクセスについて。 

 地図はこちら。

 車なら近くに停められるスペースがあります。電車の場合は周参見見老津両駅の中間ほどにあり、どちらからも5kmほど離れているので、いずれかの駅でレンタサイクルを借りてのアクセスがおすすめです。

 現地には案内板などはなく、入り口はわかりにくいですが、「フェニックスクリフ」「フェニックスの褶曲」で検索すれば訪問記録の記事などがあるので、そちらを参照して頂ければと思います。

 ごめんなさい、私自身が入り口や経路の写真を全然撮っていないもので。こと撮影に関して「結果が全て、過程は撮らない」のは私の悪い癖なのかもしれません。

 なお、褶曲を見渡せる岩場へは、満潮の時には渡れません。潮位表をチェックして、干潮の時刻を狙う必要があります。

www.data.jma.go.jp

 最寄りの白浜か串本を目安にすれば大丈夫です。

 そもそも、なぜここが公式「すさみ八景」の一角を占めていないのか不思議なほどです。おそらく観光地として現時点で未整備なのが一因でしょう。海岸に降りるまで険しい道もあり、降りても岩場で下手をすれば危険を伴うところもあるので、不用意に案内を出して事故が起きれば管理責任が問われかねない、という話もお聞きしました。

 観光地としての整備計画はあるようですが、いつ実現するかは未定のようです。

 立ち入り自体は可能なので、この記事を読んで訪れてみようと思い立った方は、くれぐれも自己責任でお願いします。

 ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。