西広海岸の夕日
紀勢本線に、広川ビーチという駅があります。
このあたりの拠点駅である湯浅駅から一つ上り方向(紀伊田辺・串本方面)に行ったところにあります。
駅名からして、ホームを出れば目の前は海!という光景を想像したくなりますが、実際の駅周辺はこんな感じ。
「ビーチ」どころか山に囲まれたところにあり、ミカン畑や水田が広がっています。
近くの山には発電用の風車も立ち並んでいます。
学生時代の「青春18きっぷ・紀伊半島一周の旅」で初めて知りましたが、「ビーチ」という名でありながら海はどこにも見えない、この謎駅名にはびっくりでした。
1993年に開業した比較的新しい駅であり、広川町唯一の駅だそうですが、ネーミングには色々と悶着があった様子もうかがえます。
これじゃ駅名詐欺じゃないか……とも言いたくなりそうですが、確かに1kmほど離れた先に、海はあります。海岸沿いまで山がせり出している紀州らしい地形ゆえです。
少し紀伊由良寄りの線路を通る電車の車窓からは、確かに海を眺めることができます。かろうじて「ビーチ」とは嘘はついていないのでしょう。
で、ここから最寄りの海である西広海岸。夏は海水浴場にもなりますが、夕日の名所でもあります。
ということで、こちらで夕日が最も美しく撮れた、とある年の3月の撮影から。
海面に茜色の光の道が走ります。
島と船の位置関係がいい感じの一枚。
そして水平線に近づくと、夕日の色が次第に赤く染まり、グラデーションを呈します。
そして私の理想とする、真紅の夕日に。
これぐらいで薄雲に隠れ、水平線に到達する前に見えなくなってしまいましたが、今までの夕日撮影のなかでも最高の色で撮れた一枚となりました。
いつか私がこの世を去る時にも、最期の瞬間はこれを見ていられれば理想的と……思えるほどです。
こちらはまた別の機会。
干潮の時刻なので、干潟も茜色に染まります。
先の写真とは時期が少し違ったため、太陽もやや島から離れました。この時は水平線近くの雲が厚く、ここで見納めとなったのが残念でした。
なかなか「真紅の夕日」に出会うのは容易ではないようです。
ここで夕日を撮るには、島との位置関係が大事になります。島に隠れてしまうといけませんし、一方で島から離れすぎると、夕日をズームで撮った場合に島が入らなくなり、夕日と海だけの単調な構図になってしまう。できれば島は入れたいですし、私のポリシーである「朝日は左に、夕日は右に」からすれば、島の右側にもってきたい。そうすると、ベストな位置関係は先の写真を撮影した3月上旬。あるいは秋なら、10月上旬ぐらいとなります。
もちろん他の時期でも夕日の美しさに変わりはありませんから、みなまもよろしければお越しください。
それでは、今回はこの辺で。
お読みいただきありがとうございました。