光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

夏の風物詩としての全方位の夕焼け

 夕焼けの季節は、本当は秋ではなく夏。

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 ちょうど今が夏真っ盛りということもあり、この記事を訪れてくださる方も多いようなので、だんだんこの事実が認識されていっているといいと思います。

 夕焼けの出現頻度も美しさも、一年のうちで間違いなく夏が一番です。今までも何度か取り上げてきましたが、まだまだ紹介したりないものがあります。

 そして、夏の夕焼けのいまひとつの魅力が、空の全方位が染まることです。

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 夕焼けといえば日没方向、西の空にばかり目が行きがちですが、夏であれば南や東の空まで、鮮烈に焼けることがあります。今年も何度もその光景を目にしていますが、その一つを紹介しましょう。先日の夕景です。

 日没間もない頃。日の入りの方角は巻雲を中心とした上層雲が広がっているので、これは焼けるだろうとは期待できます。ということで撮影体制に。

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 今回は鴨川・出雲路橋のあたり。

 北大路橋から一つ下流にある橋ですが、大通りではないので車の往来が少なく、橋の両側に移動しやすい。全方位の夕焼けを狙うには好適なポジションとして選びました。

 空が染まり始めるまえに、ほんのりと茜色の水面に、水鳥たち。

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 そして、南側の空が染まり始めました。ここから見ると正面の方角に都ホテルがあるというのも、ちょっと意外な気がしました。

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 南西の空の巻雲も色づいてきます。

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 大文字山の上空に夕焼け雲。この方角の雲が染まるのは、朝焼けみたいです。

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 比叡山の上空も茜雲。

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 こうした南から東にかけての夕焼け色が薄れ始めた頃、日没方向の北西に目を向けると。

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 色づいた雲はあるものの、それほど焼けてはいません。でも、これで今日の夕焼けは終わったと思って帰ってしまったら後悔します。

 このように、やや遅れて、色づいてくるからです。

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 やはり真打ちは日没方向。いちばん遅く染まるのもこの空です。

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 フィナーレを飾るピンクモーメントでした。

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 こんなふうに、あらゆる方角の雲が染まるのを楽しめるのが、夏の夕焼けの魅力。

 夏の風物詩の一つといってもいいぐらいです。

 だから夏の夕焼けを撮影するには、日の沈んだ方向にばかり目を向けない。どの方角の空が染まっても撮れるよう意識しておいたほうがいいですし、また撮影ポイントとして、どの方角でも撮れる位置をキープしておくのも大事なことなのです。

 京都だと鴨川は、橋の上から東西南北いずれの方向も撮れるので、絶好のスポットになります。

 そして大事なポイントは、「全方位の夕焼け」といっても、空一面が同時に染まるとは限らないということです。順序としては、まず東や南の空が色づいてから、その夕焼けが色あせていく頃に、日没の方角である北西の空が色づくというパターンになります。

 夕焼けというのは沈んだ太陽が上空の雲を照らし上げることによって起こる現象。だから位置関係上、まず太陽から遠い東や南から染まり始めるのです。真打ちとなる西の空は、染まるのは最後になります。

 この順番を心得ておくと、全方位の夕焼けを存分に堪能できると思います。

 

 こちらは昨日。西の空は快晴でほとんど雲がなく、夕焼けは期待できない空模様でしたが、南から東にかけての空は巻雲が広がっていたので、狙うならこの方角、と読みました。

  ご覧の通りです。下流の水面にもリフレクションが映えます。

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 大文字山と夕焼け雲。

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 こちらは比叡山。この方角の空が焼けるなんて、写真だけ見せたら朝焼けと間違われるかもしれません。

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 比叡山から大文字山まで、東山を一望のもとに収めて、より紅さを増した東の夕空を。

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 ということで、この日は全方位というより、東・南の空限定の夕焼けでした。

 明日は立秋とはいえ、8月も上旬。夏の日々はまだずいぶん残っていますから、まだまだ「夏の風物詩」としての全方位の夕焼けを楽しめる機会はあるはずです。

 この記事をお読みいただいたみなさまも、ちょっと気をつけていただくと見逃さずに楽しめることと思います。

 というわけで、今回もご覧いただきありがとうございました。