光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

街の鳥、日欧~クロウタドリと、そして…~

 私は仕事でたびたびヨーロッパを訪れます。ですがどの国に行っても、日本との違いで羨ましく感じることが一つあります。

 これです。

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 クロウタドリ。英語名は “blackbird” という鳥です。

 

 北はノルウェーデンマークから南はギリシアまで、ヨーロッパの街の緑のあるところなら、ごく普通に見かける鳥です。その名の通り全身黒一色で、黄色い嘴と、これまた黄色に縁どられた黒目がコントラストとなって、外観もなかなかスタイリッシュです。

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 そして、この鳥の澄んだ歌声が絶品なのです。

 音声素材や動画をアップできないのが残念ですが、一度調べてお聞きになってください。

 日本の鳥でも歌唱力ナンバーワンと言われるクロツグミにも劣りません(ツグミ科の鳥が囀りが美しいのは当然ですが)。

 街中にいながら、いたるところでこんな美しい囀りを楽しめる。鳥好きとして、ヨーロッパの人たちは恵まれてるなあ、と感じずにはおれません。

 もちろん日本にも美しく囀る鳥はたくさんいますが、その多くは山に入って行かないと聞けません。街中で野鳥の美しい歌声を耳にするチャンスはそうはないのです。

 日本の都市部には、クロウタドリみたいな鳥がいなくて残念……。

 と感じていたところ、ふと、日本の都市鳥クロウタドリにあたる役割を果たしてくれるかもしれない一種が思い当たりました。

 イソヒヨドリです。

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 その名の通り日本では海辺に多く生息し、この鳥の姿を見、声を聞くと、ああ海にやってきたなあ、と感じるものです。

 こちらは南紀白浜での撮影。

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 背中の青が、マリンブルーに溶け込むようです。

 

 このブログでたびたび取り上げているすさみ町でもよく見かけます。

 

 でもこのイソヒヨドリが、近年内陸に生息地を拡げているのです。

 私の住む京都でも、街のいろんなところで見かけます。これからの季節では至る所でさえずりも響いてくるでしょう。10年ほど前は珍鳥扱いで、一羽出たというだけでカメラマンが群がっていたことを思うと、変わりようは歴然です。

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京都市内で撮影

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京都の自宅近くの路上で

 

 今やすっかり都市鳥の一角を占める存在になっています。同じく内陸の奈良県でも増加が報告されており、内陸進出は各地でみられる現象のようです。都市部でもたびたび観察され、すっかり都市鳥の一角を占めるようになりつつあります。

 ちなみに日本語では「イソ」ヒヨドリというものの、主に海岸部に生息するのは日本特有のようで、外国ではむしろ山岳の岩場に見られる鳥だということです。内陸進出はむしろ先祖返りかもしれません。

 クロウタドリと同じツグミ科ということで、こちらも優れたシンガーです。

 そしてカラーリングも雄は背面がブルー、腹側が明るい茶色と鮮やかなコントラスト(光の条件によって見え方はかなり変化します)。こちらも魅力いっぱいです。

 イソヒヨドリの都市部への展開がもっと本格化すれば、日本の街でもヨーロッパに劣らず、いたるところで鳥の歌が楽しめるようにならないか……などと妄想したくなります。

 
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