モノクロームの秋
1年のうちで最も色彩豊かな季節といえば、この紅葉の季節、晩秋だというのは多くの人の一致するところでしょう。
たとえば、ご覧の通り。
私が季節の彩り撮影のメインフィールドとしている京都郊外・八瀬で撮影しました。
寂莫とした冬という季節を迎える前に、草木がその年の生命を最後に燃やし尽くさんとするばかりに彩りを溢れさせるこの季節。それは情熱的で華麗であるとともに、次に来る季節を予感させ、ある種の物寂しさも湛えているように思います。
そして、このようなカラフルな秋がある一方で、すでに冬の寂寥を兆すような、彩りのない秋というのもあります。
こちらは、同じく八瀬の、一帯が草原となっているとあるスポットにて。
色彩を失った草の穂が、晩秋の低い陽射しのなかで映し出されています。チカラシバという草です。
もう一枚。よりモノクロームに近づいた雰囲気となっています。
辺りにはもっと丈の高い、ススキも茂っています。
晩秋の陽光に浮かぶススキの穂。
彩りに満ちた秋と彩りのない秋。どちらも、季節の美というものでしょう。
ちなみに、この風景を撮るために草原に足を踏み入れたことで、先のチカラシバをはじめとした草の実が服にたくさんまとわりつき、取るのにひと苦労でした。
自分では動けない植物が、より遠くに種子を送り届けるための工夫なのでしょうが。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。