今回も秋に奈良を旅した時の模様を。
前回の飛鳥路とは別の年に訪れたのですが、奈良盆地の東に続く古道・山の辺の道からです。日本書紀にもその名を残していて、日本最古の道とも言われます。
古墳をはじめとする史跡に富み、一帯には山を背にして田畑が広がり、いかにも里山らしい雰囲気。道からは盆地の市街を、その遠くには生駒・金剛山系を見晴るかす。歴史と生活と自然が調和し合った、日本の原風景を感じさせる道です。
私もここが大好きでいろいろな季節に足を運んでいますが、今回は秋の撮影から。
山の辺の道では最大規模の古墳で、景行天皇陵とされる渋谷向山古墳を秋桜とともに。
訪れたのが秋分の日とやや早かったこと、まとまって群生したスポットがなかったことで、秋桜とあわせて……というのも、このくらいでした。
続いて、その北東にある、崇神天皇陵とされる行燈山古墳。
こちらでは秋桜と合わせては撮れなかったので、代わりに秋らしさを演出するものとして芒の穂を。そして秋晴れの空が濠に映えます。
こうして遠くに街並みと山まで望めるのが、ここの光景の素晴らしさです。
収穫の季節を迎えた水田とともに。生活と歴史がひとつになった景観です。
私がいわゆる「名所」での撮影でしばしばこだわるのが、何かひとつでも「季節を表現するもの」を入れることです。ここでの写真で言えば、コスモスやススキ、あるいは色づいた稲穂。それをワンポイントでも入れることで「いつ撮ったか」を主張することになり、ただ名所だから撮りました、というのにとどまらないショットになる、と考えるからです。
この地の魅力は秋の撮影だけでは語れないので、また後の記事で触れていくことにしましょう。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。