光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

鴨川源流・雲ヶ畑の里

 昨日、紅葉のことでとりあげた雲ヶ畑

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 行政上は京都市北区に属しますが、「区」とは名ばかりの山里。市街から鴨川を遡り、源流近くまで行った先にある集落です。

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 平安時代から朝廷に木材を提供してきた土地でもあり、また皇位に就けなかった悲運の皇子・惟喬親王の隠棲地としても知られています。この地には親王を祀った惟喬神社も建てられています。

 私がこの雲ヶ畑に出会ったのは学生時代。京都で暮らしてそう間もない頃、鴨川を上流まで辿っていったら何があるだろう?という好奇心から、自転車を走らせていったことが始まりでした。最初の機会は市街地の果てる柊野堰堤まで行って引き返しました。

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けれども次はさらに先に行こうと思い立ち、川沿いの山道(当然ずっと上り坂です)を辿って、この緑豊かな山里に行き着いたのでした。

 街から自転車で行ける、ほど近いところにこれほどの自然豊かな山里があるのは、本当に貴重です。京都市民でも、気づいていない人も多いのではないでしょうか。

 春には桜。初夏にはオオルリの囀りとカジカガエルの鳴き声が清流にこだまする。秋には市街より一足早く、山中の紅葉が錦を飾る。

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 ぜひこんな魅力的な場所が都会の間近にあることに、気づいていただければと思います。

 ただこの雲ヶ畑も山里の例にもれず、過疎化に直面しています。基幹産業だった林業の衰退が決定的なのでしょう。2012年に子ども数の減少から、町内唯一の小中学校が休校になったことに表れています(「廃校」ではなく、また校舎は後述の「森の文化祭」などのイベントスペースとして活用されています)。

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 このまま過疎化が進めば、この緑豊かな山里もなくなってしまうとしたら寂しいかぎりです。京都市街地の安全になくてはならない鴨川源流部の森林が荒れることにもなりかねません。

 けれどもここは、市街地に近いこともあって、相応の「関係人口」も有しているのが救いのようです。先日「森の文化祭」が開かれ、私も顔を出してきましたが、その運営には大学生の山仕事サークルが大きく関わっているなど、若い人たちとのつながりもできています。大学街でもあり、若者の多い京都です。若い人たちの間で「関係人口」がさらに増えてくれれば、明るい未来につなげるのかもしれません。

 ここ雲ヶ畑はサイクリストの間では、コースの一つとしてもかなり知られているようです。休みの日なら数多くのサイクリストとすれ違い、また追い越されます(私も多くの場合自転車で訪れますが、「長距離を走破する」サイクリング自体を趣味としているわけではないので、そういう用途の自転車は所有していませんから……)。

 ただサイクリストたちにとってはあくまでこの雲ヶ畑はただコース。通過するだけで、この土地の魅力に気づいて、具体的な関わりを持って……ということには、なかなかならないようです。でも彼らもいってみれば雲ヶ畑の「関係人口」予備軍でしょう。サイクリストの人たちに、ただ通り過ぎるコースだけでなく、この雲ヶ畑の魅力自体を知って関わりを深めるような仕掛けがあれば……などと、昨日ひと休みした古民家カフェ「ぜーもんカフェ」の女将さんと話していました。私もこの雲ヶ畑にとっても「関係人口」の一人ですから。

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 雲ケ畑を訪れる人を優しく迎えてくれるこのスポット、おすすめです。

 このブログを読んで行こうと思い立つなら、季節的にもぎりぎりかもしれません。冬の寒さは厳しく、市街地より3-4℃は低く雪も多いので、行くなら11月いっぱいがおすすめです。次は来春まで待つところです。

 では、今回もご覧いただきありがとうございました。