彩り豊かなふたつの季節~新緑の山と紅葉の山~
春色と秋色。新緑と紅葉。
1年のうちで、山はカラフルな季節を2度迎えます。夏の濃緑と、常緑樹だけを残した冬枯れとを挟んで、とりどりの色が見られる時期。落葉樹の雑木林が広がる里山ならではの光景です。
前回の記事でとりあげた、京都・八瀬のとあるスポットで、2つの季節の対比をお楽しみください。
まずは広角での一望から。
片や芽吹いたばかりの淡い新緑と山桜、そして緑に色づく前の春紅葉が彩る山。片やその年の生命を燃やし尽くすように、赤に、朱に、橙に、茶に、黄に樹々が彩りを競う山の表情です。
同じところというわけではないですが、山腹の一エリアを望遠で切り出してみると。
春先にも、「春紅葉」といって、葉緑素が合成されて緑に色づく前の葉が、晩秋のようにアントシアニンの赤を帯びた色合いが見られることがあり、彩りを添えています。
広角写真の左手側に見える峰のあたり。
ちなみに、4月も下旬に入るとこう。
まだまだみずみずしい新緑ですが、山桜も春紅葉も見えず、もう杉の深緑との二色構成になっています。晩秋の紅葉以上に、春の彩り豊かな時期は短いのです。
春色と秋色の稜線。
私の好きな対角線構図です。
そして、私にとって一番撮りたいアングルがこちら。
いかがでしたでしょうか。これだけ色鮮やかなのは1年に2度の、つかの間です。
清楚で繊細な色合い、でもこれから満ち溢れる生命をみなぎらせるような力を感じる新緑、春色。
華麗で情熱的に燃え上がりながら、これから訪れる最も寂しい季節を前に、どことなく哀愁を感じさせる紅葉、秋色。
みなさまは、どちらの彩りのほうがお好きでしょうか。
というわけで、今回もご覧いただきありがとうございました。