あの樹が失われて
未明の降雨の後、朝には久々に日が射す。梅雨も終わりが近いようです。
晴れるのが遅くなったものの、今までであれば雫撮影の日よりだったはずでした。それで、いつもの森へ。
とはいえ、これまで、何度となく雫の宝石で飾られたあの樹は、もうありません。
雫が煌いている、まだ健在の樹で、撮れるものはありました。
でもやはり、あの樹ほど美しい雫の煌きを見せてくれることは、やはりありません。
改めて、失われたものの大きさを痛切に思い知らされます。もうあの彩りの光景は、二度と出会えないものなのかと。
ということで、まだ哀悼は終わりません。あの一本の樹が存在していた証を、これまでの撮影から分かち合っていきたいと思います。
ほんの少し前まで、この輝きが見られたのです。
そこには今は、ただ土砂が堆積した川原があるだけです。
あの梢に降り注いで、雫を彩り豊かな宝石に変えていた光も、今はまっさらな川原を照らすだけです。
こんな宝石の数々は、写真のなかにとどめなければ、誰にも気づかれることなく消え去ってしまう瞬間だけの宝でした。
その証を、改めてここにとどめます。
一瞬を永遠にするために。
記憶と写真の中にだけにしか存在しなくなってしまったものを、まだまだ分かち合いたいところです。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。