光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

日の低さという気づかれない秋の季節感

 

 秋分の日から今日でちょうど1カ月。秋も半ばというところです。

 気温では4月下旬と同じぐらいでしょう。気候的には似ている春と秋ですが、もちろんたくさんの違いがあります。桜や新緑、ススキやコスモス、紅葉といった草木の違いがいちばんでしょう。前の季節との対比から、春は「暖かさ」、秋は「涼しさ」がまず受け止められます。バードウォッチャーならば鳥の違いにも気づくものです。

 けれどもさらに、たぶん多くの人が体感的にはわかっているものの、意外と言葉にして気づくことのない、秋という季節を感じさせるものがあります。

 それが、「日の低さ」です。

 国立天文台のサイトの「各地のこよみ」で見てみます。

eco.mtk.nao.ac.jp

 4月20日、10月23日と、それぞれ春分秋分から1カ月過ぎた日の太陽の南中高度は私の住む京都だと、それぞれ66.6°、43.7°。22.9°もの違いがあります。ちなみに10月23日の南中高度には、4月20日だと早くも午前9時に太陽が来ます。

 気温はほとんど同じでも、春の太陽は高々と一面を明るく照らし、秋の太陽はそれに比べてずっと低く、斜めから照らします。この光の違いが、気づかれないところで「春らしさ」「秋らしさ」の感覚を生んでいるわけです。

 日が低ければ当然光度も落ちますから、秋は昼間でも春ほど明るくありません。真昼でも影は長くなり、物陰になる場所も増えます。昼下がりを少し過ぎればもう日は西に傾きます。それが秋独特の物寂しい雰囲気を演出するのに一役買っているのでしょう。

 低い日差しであれば日の当たる場所と当たらない場所の違いも浮かび上がります。北側の建物や山々がくっきりと照らし出され、コントラストが鮮やかになります。

 こちらは、去る晴れた日の昼過ぎに賀茂川・北山大橋から北に向けて撮った一枚。

f:id:naosuke21036:20191023191104j:plain

 まだ昼下がりながら、西岸(左手側)の影が長く伸びているのがわかるでしょう。光の当たる東岸とコントラストになります。

 もう少し先ですが、紅葉やイチョウなどの木々は秋の日に照らされるとより映えるものです。

 秋の晴れた日は澄みわたるように深い青空が見られるのも、順光側の空が低い太陽の反対側だというのが理由でしょう。

 こちらは、青空の映える、いつもの比叡山麓の田園で。

f:id:naosuke21036:20191023191329j:plain

 春~夏でも、朝早くであれば似たような深い青の空が撮れることがあります。秋の真昼と太陽高度がほとんど同じだからです。

 こういう「光」の違いによる秋らしさは、たぶんたいていの人が感覚的にはわかっていることでしょう。なんとなく「秋らしさ」を感じさせるものだと気づいている。でも、「日の低さ」として指摘されることは、意外に無いように思います。

 これに気づいて辺りを見回してみると、季節の楽しみ方も写真撮影の奥深さも違ってくると思います。

 では、今回もご覧いただきありがとうございました。