光つかまえて~雫と海と季節のフォトブログ~

写真を通してつかまえた光をお届けしていきます

海を撮る~順光と逆光~

 こちらの2枚の写真を比べてみてください。

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 いずれもすさみ町・見老津駅のホームから望む海を撮影したものです。ホームからでは広角で撮るとどうしても電線が邪魔してしまうので、余計なものを入れないために望遠で切り取っています。

 季節はいずれも夏、2年前の8月と今年の6月ですが、撮った時間帯が違います。上は昼前の11時台、下は昼下がりの3時頃です。

 時間帯の違いで、同じ夏の海でもこう違います。地図から分かりますが、駅から見て海が西側にあるからです。つまり順光と逆光の違いです。

 海の写真を撮る上で、ここに重要なポイントがあります。

 

 空も海も、「青さ」を強調したい場合には、順光で撮るに限ります。それを狙って、被写体が順光となる時間帯を選んで撮影プランを立てるのも大事だとも、以前の記事で触れました。

 私も「青い空の下で、青い海を撮る」ことが第一のこだわりなので、基本的にこのセオリーに沿っています。

 

 でも、逆光で撮る海も、別の魅力があります。何にもまして、海面のキラキラです。

 特に海が荒れ気味で波立っていればそれだけ光の乱反射も激しくなるので、波の躍動感と合わせて、より劇的な写真になります。前回のすさみ行きで海が荒れそうな日を選んだのも、その狙いがありました。

 

 海を逆光で撮る場合のポイントをいくつか。

 逆光撮影では画面が暗くなりやすいから気をつけるというのは、ここでわざわざ書くまでもない、写真撮影では初歩の常識でしょう。カメラが「明るすぎる」と勝手に認識し、やや暗くするように調整してしまうからです。だから露出をプラス補正したほうがいいというわけです。

 ただ私としては「青空はゼロ補正で撮りたい」というこだわりがあります。プラス補正すると当然白っぽくなり、青空の深さが損なわれやすいからです。逆にマイナス補正すると青みは深くなるものの画面全体が暗くなり、晴れた日ならではの爽やかさがなくなりやすい。だからどちらにも動かしたくない。当ブログで紹介している、青空を含んだ写真はすべて露出はゼロ補正です。

 それに空がより青いのはそもそも順光方向で、太陽方向の空はそもそも白っぽさを帯びるので、プラス補整すればいっそう白トビしやすくなります。

 

 では、どうするか。一つの方法は、「空を入れずに、海面だけを切り取って撮る」ということです。上の写真もその一つです。

 もう一つ。そして空を入れたい場合には、「日の高い時に撮る」ということです。特に夏の昼時がベストです。

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 太陽高度が高ければ逆光方向でも太陽とは距離があるため、空の青さはあまり損なわれません。レンズにまともに光が射しこまないので、「逆光だから画面が暗くなる」ということも起こりにくい。いくら日が高くても日本国内では「垂直」にはならないので、いずれにせよ逆光の条件は生じます。

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  海が荒れ気味だったために、波立つ海面に乱反射する光がいよいよ映えます。

  去年の夏に、立浦で狙って撮ったのがこちらです。

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 あと、逆光撮影では一緒に映る岩や崖などが日陰になって暗くなりやすいので、この点も注意です。

 この間の撮影旅行から見老津駅前で。

 


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 なお、海に沈む夕日を撮るのは当然逆光になりますが、この場合は太陽の光もすでにかなり弱くなっているので、直接太陽にカメラを向けても構わないところです。

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 日本童謡の園から。こんなふうに海面が赤く照らされ、「光の道」ができるのも海での夕日撮影の醍醐味です。

 ということで、これから訪れる夏本番、「逆光の海」を撮るうえで参考になればと思います。

 今回もご覧いただきありがとうございました。