夏の南紀~紀伊田辺・天神崎より~
もうすっかり秋たけなわ、あの猛暑の日々も懐かしく思い出されるぐらいです。ずいぶん日は開きましたが、そんな夏に、恒例の紀伊半島の旅に行ってきた折のことを、改めて特集しようと思います。三密を避けることには徹底して気をつけつつの旅でした。
初日は、紀伊田辺を起点としています。
その手前、車窓から大海原が見渡せる、紀勢本線・岩代駅辺りの区間。
燦燦と明るい日差しに海の色もエメラルドを帯び、これだけでも夏らしさが伝わってきます。
紀伊田辺駅からはレンタサイクルを借り、今来た経路を引き返すようなコースで、まず天神崎へ向かいます。こちらはその途上、田辺大橋から望む、会津川の河口から田辺湾です。
天神崎への地図はこちら。地図上では左手にある岬です。
途中、ちょっとした山道で、真夏にもはやキバナコスモスが咲いていました。
木立の下の道を抜けると、向こうに海が見えます。
海辺に出ると、看板が立っています。ちょうど干潮時なので、平坦な岩礁が現れています。
ここは1970年代に別荘地に開発されようとしたことがあり、それに対して「天神崎の自然を大切にする会」が立ち上げられ、全国からの募金をもとに、1987年に自然環境法人(ナショナル・トラスト法人)の第1号に認定された場所だとのこと。日本でのナショナル・トラスト運動の源流のひとつとなった地であり、このような森と海がひとつになった豊かな自然がそのおかげで残されていることに、改めて有難みを感じます。
夕暮れ時には日本にいながらにしてあのウユニ塩湖を思わせる景観になるということで、近年は話題にもなっています。私が訪れたのは真昼でしたが、そんな情景を想像させるものがありました。
侵食されずに残ったところは、満潮時には島になります。その上に立つのは丸山灯台。現在では灯台としては使われていないとのことです。
岬の向こう側に出かかると。
海蝕崖と波蝕棚のコントラストがここでもはっきりです。
右手に見えるのは、岬の沖合にある元島。防波堤を伝って渡ることができます。
島の辺りも、やはり平らな磯が続いています。磯遊びや磯釣りの人たちも、ちょうどお盆休みの時期だけあってここまでたくさん見かけました。
まだまだ楽しんでいたい景観でしたが、訪れたい場所はまだまだあるので、これぐらいで後にしました。
真夏の炎天下、しかも陽射しを遮るものがない磯ということで、一所にとどまること自体がきついという意味合いもありましたが……。
ということで、続きはまた別の記事で。今回もご覧いただきありがとうございました。
秋のイルミネーション~雫のプリズム~
前回に引き続いて、先月半ばに見つけた雫の宝物。
街を飾る季節にはまだ早いですが、あまたの光が瞬いては色を変える、森のイルミネーションをご覧いただきましょう。
やはり青の光がひとつあるだけで清冽なイメージは際立ちます。
オレンジの光ふたつと、青の光ひとつ、そして小さな光たち。
虹色にきらめく雫も。
両端の主星と副星。
紫と青に彩りを変え。
また元の色に戻りつつ、右下の副星が二つになります。
こうして水滴と光が演出する自然のアート。ここひと月ほど出会う機会がありませんが、次に見つけられる日はいつになるか、楽しみなところです。
それでは、今回もご覧いただきありがとうございました。
秋のキラキラ~雫のプリズム~
今は、雫撮影ではシーズンオフ。雨上がりに晴れた日だったとしても、いつもの森でいい角度で陽射しが注ぐ樹がありません。
台風接近で雨の週末ですが、たとえ日曜日ぐらいに晴れ上がったとしても、チャンスとはならないようです。10月末ぐらいまでは撮れる樹がないでしょう。
ですが、9月半ばに見つけた宝石がありましたので、ここでわかちあいましょう。
まずは、こちらから。
真ん中の、虹色の光彩を放つ雫が目を引きます。
小さいながら、青く澄んだ光へと変わります。やっぱり青の煌きだけは特別です。
少し角度を変えると、別の雫が彩り豊かに光を放ちはじめます。
こちらでは、右手側の雫が主役になったようです。
青、緑系の光が画面に二つもあると、それだけでも嬉しくなります。
瞬いては光を変えていく、水滴の変光星。
でもどの輝きも本当につかの間だけ。二度とは出会えない瞬間です。この一瞬一瞬を宝として受け止めながら、また出会える光を待ち望みたいと思います。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。
どことなく昭和風~わが郷里の夕景から~
10月に入ってはや1週間。
過去の同時期に撮影した写真を見返していたところ、なんか気に入ったショットがあったので、今回の記事でわかちあいたいと思います。
それが、こちらです。
過去のこの季節に、所要で実家のある名古屋市南区に帰った際に撮った夕景です。
立ち並ぶ鉄塔と工場、そしてちょうど電車(名鉄常滑線です)にこの夕景の色合いが、なんとなく昭和っぽい雰囲気を感じるところです。
川面に映り込んだ夕日と人影が重なるのもポイント。
遠景には名古屋港ポートビルが見え、海の近さを感じさせます。さらに遠くには伊吹山も望めます。
夕日の光がやや強めで、ちょっとフレアーが入ってしまったのが残念なところでした。
地図はこちら。山崎川沿いに歩いての撮影です。
私の育ったこの町は典型的な下町でしたが、最近ではかつての工場地が次々とマンションやショッピングセンター、病院などに再開発され、雰囲気もかなり様変わりしています。でも川沿いは昔と変わらぬ工業地帯。それがちょっとレトロな雰囲気を感じさせるのでしょう。
先のスポットにたどり着く前の1枚。
こちらはその後、線路を渡った先で撮った夕焼けです。
工業地帯を流れる濁った川ですが、こうやって夕空と鉄塔を映すとなかなかの趣を見せてくれます。
普段は自然の風景を主に撮っているますが、こうやって人工物の世界を撮ってみるのも新たな発見と面白さがあるかも、とふと感じたところです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
夕焼けの華麗と清楚~2020年9月の夕景まとめ~
10月に入って最初の週末でした。もうすっかり秋本番ですが、先月初めはまだまだ真夏を思わせる猛暑だったことを思うと、ひと月で季節もずいぶんと移ったものだと実感させられます。
9月は桂川での「夕焼け祭り」をはじめとして、夕焼けを撮る機会もたびたびありました。でもそれを振り返ってみても、季節の変化はありありと感じられそうです。ということでまとめも兼ねて、出会えた 夕焼けの数々を改めてご覧ください。
まず月初めのに、近場の宝ヶ池公園にて。リフレクションの美しさはこのスポットの一番の魅力です。
これまた上旬の別の日に、同じ宝ヶ池公園で。燃え上がるような空でした。
こちらは中旬に入ろうという頃。仕事から帰宅してすぐ、空が華麗に燃えました。曇りの一日で、予想していなかったことなので場所を選ぶ余裕がなく、わが家の近辺で撮りました。
そして今月最大のイベントともいうべき、20日の桂川での夕焼け祭り。この日はニュースでも報じられたほど全国的に華やかな夕焼けが現れました。
桂川での本格的な夕焼け撮影はこの時が実は初めてでしたが、このスポットを選んだことがここまで大正解だったことは、うれしい誤算でした。
翌21日。こちらは宝ヶ池公園。前日が壮大すぎたので、これほどの夕焼けでも物足りなく思えるほどでした。
翌日、例年より1日早い秋分の日。4連休で3日続けて夕焼けが見られました。
翌週末の桂川。
この日は夕焼けよりも、鮮烈な二重虹のほうがメインイベントだったようです。
月末に鴨川にて。これまでの夕焼けと比べても雰囲気の違いがおわかりでしょうか。華麗に燃え上がった一週前と比べても、物静かに、しんみりと染まっています。
こちらも別の日。うっすらと茜色に染まった雲です。
もちろん全部が全部というわけではないですが、夏の夕焼けは空が燃え上がるように華麗で情熱的なのに対して、秋の夕焼けは、静かにしんみりと染まる、清楚な雰囲気が合います。
夕焼けには大気中の水分が大きく関係しています。湿度が高いほど波長の長い光だけが届くようになり、それだけ夕焼けは赤くなる。日本の気候であれば、夏に真っ赤な夕焼けがよく見られるわけです。
夏から秋への移り行きの時期にある9月は、夕空の表情も移り行きます。
桂川の夕焼けもそうでしたが、お彼岸の頃までの夕焼けは、まだ夏の夕焼けです。9月に情熱的な夕焼けがたびたび見られたのも、「秋になったから」ではなくて「まだ夏らしさが残っているから」でした。
秋も深まり空気も澄んでくると、染まり方も控えめでになになっていきます。
夕焼けの華麗と清楚。ちがった夕空の表情が見られたひと月でした。
では、今回もご覧いただきありがとうございました。
紀勢本線の車窓から眺める海~古座-紀伊田原ー紀伊浦神-下里のあたり~
紀勢本線には、海の眺めを楽しめる、いくつものポイントがあります。
和歌山駅から出発して、まず海が見えるのは冷水浦駅の辺り。その後に広川ビーチ駅を通過した辺りでも遠くに海を望めるポイントがありますが、本格的にオーシャンビューを堪能できるのはまず、岩代駅を中心とした切目ー南部駅間。
そして、このブログでたびたび紹介している見老津駅を中心としたすさみの一帯。奇岩も群れなして海の青さを引き立たせ、特に海の景観の素晴らしいポイントです。
この辺りは海の眺めは素晴らしいのですが、車窓から撮影して写真になるポイントというのはなく、もし海の写真を撮りたければ駅で下車してホームを出る必要があります。
そして見老津から2駅、串本町に入った和深駅。ここなら車窓からも撮れます。でもこの駅では通過電車の待ち合わせで何分か停車することも多いので、車外に出て撮影するチャンスもしばしばです。
駅からほど近い海岸のランドマークとなっている感のある、巨大な奇岩が目を引きます。
串本を過ぎても、海の眺望が開けるポイントはまだまだあります。今回紹介するのは、古座から下里までの区間です。
地図はこちら。
ご覧の通り路線のうちで海沿いを走る部分が多いことがおわかりでしょう。
ということで、車窓から海にカメラを向け、撮影した風景の数々をお送りします。反射神経が良いとは言えない私は走る電車の中からの撮影というのは得意でなく、とにかくシャッターを押しまくって失敗作を連発しつ、モノになったものを取り上げるというところです。
奇岩と浜辺。
紀伊浦神駅にさしかかるところ。「浦神」っていかにも海辺らしい地名ですね。
紀伊浦神駅を通過して。この辺りの湾は玉ノ浦と呼ばれますが、夏には海のエメラルド色が映えます。
一度紀伊浦神駅では下車して、海辺まで出て撮影したこともあります。
近くにはもう廃校となった浦神小学校がありましたが、学校の運動場では子どもたちが野球の練習をしていました。
本当にこの辺りの海のエメラルド色は美しい。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。
宝ヶ池公園より夕焼け全方位
今日でもう9月も終わり。遅い梅雨明けが繰り越されたように真夏同然の猛暑が続いた前半とはうってかわって、今では朝晩は肌寒さを覚えるまで。変化がずいぶんと激しかったひと月でした。秋分の日ぐらいまではわが家の前の森からセミの声が聞こえましたが、それもなくなって一週間ほど。夏の名残はもうどこにもありません。
夏の長梅雨→猛暑のときもそうでしたが、今年は季節の移り変わりが急激であって、この様子だと晩秋から冬にかけても、急に寒くなるような気がします。実際、地球の裏側でラ・ニーニャが発生しているため、そうなる可能性が高いという予報が出ています。
今月に撮れたすばらしい夕焼けのなかで、まだこちらのブログで紹介しないままになっていたものがありましたので、今回の記事で紹介しましょう。まだ夏が続いていた、初めの頃。わが家からすぐに足を延ばすなら定番の撮影スポット、宝ヶ池公園からです。
空模様から今日は行けると見て、公園に向かう途中の高野川・馬橋。
日没方向の空が晴れているので、これは夕焼けが見られる予兆です。
そして池のほとりへ。北側の国際会議場の上空が、まず染まっています。
そして池の方を見やれば、色づき始めます。こちらは南東方向。
南西の方向にカメラを向けても、いよいよ華麗に染まってきました。
西方向の空をより望める、東屋に移動して。
赤みがさらに増します。
より赤い空間をズームで。
最後に地平線近くの空が真っ赤に染まって、フィナーレです。
引き上げて家に戻ってみると、アンコールとでもいいましょうか。まだ残照で、夕焼けが空に残っていました。
「秋の日はつるべ落とし」といいますが、秋が深まれば、夕焼けが続く時間も短くなることが多いものです。夏の夕焼けがただでさえ日暮れが遅いのに、それに加えてなかなか暗くならないことを思うと、この日の夕空はまだ夏のものだった、と感じます。
またここまで華麗に赤く染まるのも、夏らしい夕焼けです。秋も深まった今となっては、夕焼けが見られても、薄く色づくだけということも少なくありません。
たったひと月で、季節もずいぶんと動いたものです。
ということで、今回もご覧いただきありがとうございました。